相棒がぐっすり眠っているのを確認すると、そろりと布団を抜け外に出る。
もう皆寝静まった時間に抜け出すのは、今からしようとしている背徳的行為を助長するかのように俺を興奮させた。



「やあ、ガノン」

その名を口にすれば、どんどん愛しさが膨張して今にも爆発を起こしそうだ。
俺はぼーっと暗黒の空を眺めているガノンの背後からそっと近づき、少し小さめの声で相手に呼び掛けた。


「なっ、貴様…!」
ガノンもまさか俺がのこのこと敵の城に足を踏み入れに来るとは思っていなかったのだろう。
普段は何を考えているのか分からない程に表情を変えない彼が、文字どおり驚いた顔を向けた。


「急に会いたくなっちゃってさ」

「ばっ馬鹿か貴様!こんなところを誰かに見られでもしたらどうするつもりだ!」


ぶっきらぼうなガノンなりに、俺の勇者としての地位だとか名誉だとか、そういったのを心配しているのだろう。
他人なんてどうでもいい。そう何度も言っているのに、彼は聞く耳持たずといった感じなのだ。
(俺は、毎日ガノンに逢いたいのに…)


「へぇ…みられて困るって、例えばどんなことを?」

「そんなこと、言わなくてもわかるだろう!只でさえ敵同士の俺たちが夜中こそこそと逢っていると知られたら、貴様の…」

「俺はてっきり、今から俺たちが始める『イヤらしい行為』を見られたら困るって言ってるのかと思ったよ」

「いっ、イヤらしい行為って!…って、は?今から…?」


ガノンはどうやら俺の言葉を聞いていなかったらしい。
もしくは、聞いていたが言葉の意味を把握できていないという感じだ。 まあ、十中八九後者だろうが…

まるっきり意味がわからないという顔をしてきょとんと俺を見据るガノンは、もう、倒れてしまいそうなくらい可愛い。(世間では恐れられている大魔王が、こんなにも可愛いことを知っているのは俺だけなんだ…ああ俺はなんて幸せ者なんだろうか)






「ガノン…」
切な気に彼の名を呼んでみる。
するとガノンはびくんという音が似合うくらい肩を強張らせ、俺を、困惑と期待に満ちた目で見つめた。

ああ、もう。
そんな熱っぽい目で見られたら、我慢なんて出来なくなるじゃないか。




俺から視線を逸らしたり、かと思えばちらちらと見てみたりと落ち着かないガノンの右腕を引っ張り此方側に引き寄せる。


「っんぅ…ふ、はっんぐっ!んむぅ…、」
最初は優しくリード…といきたかったんだけど、ガノンの目を見ていたらそんな紳士的な考えは一瞬のうちに消え去り、変わりに獣のような情欲が沸き上がってきてしまった。

彼の口内の感触を味わった後、下唇を舌でなぞり、軽いリップ音を立て解放してやる。
肩で息をするガノンには、もはや大魔王などという大層な呼び名は相応しくなかった。


「はぁ、っき、さま、いきなり何す…っーー!?」
「いつも思うんだけどさ、ガノンの服ってイヤらしいよね…まさか誘ってんの?」
「きっ、さまぁあ!調子に乗るのも大概に……ひっ!?」


ぎゃーぎゃーと煩く喚くガノンを静止させるが如く、むき出しになった内太股に手を這わせる。
上下にいったりきたりを繰返し時折爪を立ててやれば、ガノンは短く息を詰まらせ俺にしがみついた。


「だってこんな…勃ったらはみ出ちゃいそうなパンツ穿いちゃってさ。他の奴に犯してくださいって言ってるようなもんだよ。俺が印つけて守ってあげる」


そう言うやいなや、ガノンの腰が浮くくらいに持ち上げ股に顔を近づける。

息がしづらそうなガノンは俺に離せと懇願しまた暴れだしたが、俺はそれを難なく抑え込み、緊張しているのか固くなっているガノンの内太股に舌を這わした。

その途端、ひぃ!?と短い悲鳴をあげ、彼は今にも泣きそうな顔で俺を睨み付けた。
…全然恐くないけど。


「ん、ガノンの肌気持ちイィ」

「っ、っ、〜〜!!」

自らの肌から発せられる何とも卑猥な水音が恥ずかしいのか、目をぎゅっと瞑り必死で壁に力を預けて平静を保とうとしているガノンはとても健気で、俺にはそれだけで興奮材料になった。


「は、くっ…ッつ、や、めろ……っ」

「やめていいの?」

「〜〜っこの、!!」


今にも罵声が飛んできそうなくらい顔を真っ赤にして俺を睨みつけるガノンの唇に、再度キスをする。今度は、親が子どもにするみたいな軽くて可愛らしいキス。

意外だとでもいいたげな顔で片方の眉をひそめた彼は、俺が次に何をするのかとんと見当がつかないといった表情だ。

もちろん俺としては、この可愛いくて愛らしい大魔王様をいたぶって啼かせて、彼が素直になるまでとことん俺を刻み込ませてやるつもりだったんだけど、どうやら神様は俺に味方してくれる気はさらさら無いらしい。

匂いで俺の存在が気付かれたのか、城内からは魔物と思しき足音がこちらに近づいてきているのを感じたので、今日は退散することにしよう。


「残念…これからがいいとこだったのに。ガノン、今度は君から俺に会いに来てよ」

「え、リン、ク?」

先のことを期待していたのか、信じられないというような表情を浮かべるガノンは、俺をとことん嬉しくさせてくれた。
困惑するガノンを一人置いて、俺は窓から飛び降り城を後にすることで、事なきを得た。


暴れまわる俺の息子以外を除いては、だけどね…とほほ











ガノリンはたくさんあるのに、何故リンガノが少ないのか!!

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