「…………あの、」
「うるさい」
「いや、あのね、」
「黙れ、しゃべるな」
「…傍若無人」
「何か言ったか」
「いえ、何でも」



はぁと小さく溜息をついた。それには、呆れだとかやるせなさだとか、その他諸々様々な感情が込められている。
この、自分よりも幾分も大きくて強い大の大人(しかも魔王)が、今自分にじゃれて(?)いるのだから。

「重いんだけど」
「我慢しろ」
「どいてくれないかな」
「いやだ」
「この……っ」

この自己中魔王オヒメサマはこちらがどれほどの我慢をしているのか、全く分かっていないのだ。
何がいやだだ、めちゃくちゃに犯すぞと脅しをかけたくなる。
いや、むしろもう何も言わず致してしまおうか。こんな如何にも襲って下さいな状況なのだ、少しばかり欲をむき出しにしても罰は当たらないのではないか。

思わず、そんな否勇者的な考えが頭をよぎってしまう。


「あのねぇ……、いい加減にしないと、本当に…っ、んむっ…!?」

こうなったら強行手段だと、
椅子に座っている俺を覆う様にして俺の顔の真横にあるガノンの腕を掴んだ、その時。

強引に口を割って入ってきた良く知る感覚に、思わず目を剥いた。


「ん…っ、んんむっ」

強い力で喉奥まで入ってきた肉厚の舌を追い返そうと抵抗してみるも、そんなものは無意味だと言いたげに、挑戦でもする様に。
ガノンの舌は俺のものを絡め取り、鋭い歯には甘噛みされ、唾液を呑み込まされた。

「はっ…、はぁ」

段々と荒くなる俺の吐息と、それに呼応するみたいにして赤くなる彼の頬。
きっと彼も、きもちいいんだと思う。俺がそうであるように。

「んんっ…んはっ、はぁ、」

俺の顎を掴んでいた大きな手は、いつしか俺の肩を掴んだ。
その手はふるふるとかわいく震えている。
自分からしてきたくせに、感じきって我慢できなくなるなんて彼らしい。

彼の吐く息が大分忙しない。
息が上がり切っているし、きっと苦しいのだろう。
俺は、力の入らなくなってきている彼の下半身を、ぐっと押し込む様にして手をあてた。


「っ―――!」

瞬間、彼の身体が大きく跳ねた。
切なげなガノンの瞳の中は、涙ですっかり濡れている。

「自分からしてきたくせに、もうこんななってる…。」
「っ、は、はやく……、」

はやく、さわって
まるで子どもみたいな声色で、ガノンは俺に懇願した。

俺は気持ちを逸らせながら、その要求に応える。

「っくぅ…っ、んっ・・・!」

子犬の様な鳴き声を出しながら、彼は喉を仰け反らせた。
動く喉仏がなんともセクシーだ。

「ッあ、…はぁあ゛っ!」

俺は遠慮なく、美味しそうな浅黒い肌に歯を立てた。
素直なまでに反応の良いガノンに、思わずにたりと口角が上がる。

口をだらしなく開けて喘ぐガノンの後頭部をがしりと掴み此方側に引き寄せると、俺は噛みつくように口を合わせる。

そして性急に脱がせた彼の下半身をがしゅがしゅと扱くと、何とも情けの無い声をあげてガノンは呆気無く達した。


「はっ、はあ…ッあ、」
「が、の…っ、!」
「ん、っ・・・はや、く…はやく……ッ!」

俺は、ごくりと生唾を飲んだ。しかし、彼の痴態でカラカラに乾いた喉を潤う材料にもなりゃしない。

それほど、彼の痴行は俺の理性をぐらつかせた。

達したばかりで力の入らない手で俺の手を掴み、何と自分の尻穴まで俺の指を誘導したのだ。

「ひ、ぅあ……っ、ぁ、あっ、ふ…ぅ…っ」

きゅうと窄まるガノンの尻穴の皺一本一本を撫でつける仕草で縁に刺激を与える。
普段と同じものとは到底思えない程に頼り無い声をあげながら、ガノンは恍惚とした表情を浮かべる。
やがてキツいそこに小指の根元までを一気に押し込むと、彼は甲高い声をあげ、溜めていた涙をついに流した。

上手く息を吐けていない彼は気にしない事にして、俺は入れた小指を、先程のガノンの態度みたいに乱暴に掻き回す。
爪の先が、彼がいつも喜ぶ箇所を一瞬掠めるとガノンが歯を食いしばらせた。


「ひっ、ひぃ…っ、ぁっあァ」

ぐりぐりと小指だけで中を抉りたてればガノンの腸液が止め処なく溢れ、俺の小指をつたって腕までたらりと垂れてきた。

もう彼のアレも限界そうだ。
ガノンが身体を動かす度ぺちぺちと腹に当たる程に隆起し、筋張った豪快なソレの先端からは、止め処なく淫液が溢れている。


「……っはぁ゛あ」

寸の間も無くぶじゅぶじゅと厭らしい音を発する程に育った穴からぷぢゅっと小指を引き抜く。
壁が擦れる感覚がたまらないのだろうか、彼の肌がたちまち粟立った。

はっはっと犬の様な呼吸を繰り返すガノンの窄まりに、今度は3本の指を躊躇無くずぶりと突き刺した。

「つ゛――――!!!」

ガノンの呼吸が一瞬止まる。

俺は、彼のきつそうな表情がなんだか面白くて、そのまま指らの律動を開始した。


「ひぃッっ……!、はっ―――ッぁあ゛」

一番長い中指が突起を押し上げ、一番短い小指の爪先がその突起を擦り上げる。

きっと彼の秘所は真っ赤っかなのだろう。
想像してみると余りにも卑猥で、けれどそれは淫らに舞う彼にはお似合いだと思った。





「ガノン、そろそろ…いいよな?」

何が、なんて聴くまでもない。

すぐに俺の言う事を理解したガノンは、焦点の定まっていない危い瞳を此方へ寄越し、そして小さく頷いた。


「っ、ん…!」

はちきれんばかりのペニスを固定し、ガノンの後孔へ寄せる。
先端が窄まりを掠めると、彼は小さく声を漏らした。

「すごいよ、ガノン…。俺が力を入れなくてもどんどん入ってく…。」
「んっ、ふっ、ふっぅ、ッ゛あ、っん」

まるで誘うかの如く収縮を繰り返し俺のペニスを吸い込んでゆくガノンの孔に、動悸が収まらない。

「はぁ……っ、もう我慢出来ない。」
「んんんッ、あっ、あぁああ…ッッッ」

どこまでも飲み込まんとする淫猥な孔に、もう辛抱堪らない。

まだ引き込んでゆく力に逆らい、俺はペニスを思い切り引き抜きそして深く突き刺した。


「ひぃんっ…!、ッあ゛、ぃ゛……ッ、んんんッッッ」

高い悲鳴と共に、彼の腰も高く上がる。
良い処を狙い、無意識下で彼の腰が躍ると、俺はそれに合わせた。

強くスラストさせてやれば、彼の孔は喜びに打ちひしがれ細かく痙攣を起こす。


「あぁぁ゛あッ、あ゛!、ひぃ゛んッ…!っ、あ、あぅぅうッっ」

奇声をあげたガノンのペニスから、精液が噴出された。
まだ先だと思っていただけに、急に締め上げられた俺のペニスも悲鳴をあげ、予期しない射精を伴わされる。

しかし時期を早められたそれに、俺のペニスは不服とばかりに硬度を保っている。


「勝手にイったお仕置き、しなきゃな…? ガノン」

無意識に舌なめずりをしながら、恍惚に頬を染めるガノンを見遣る。

俺の言葉に、絶望と欲望を映した瞳を視線が絡んだ。




夜は、まだまだこれからだ。

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