冬と言えば…、
冷え冷えとした外気に晒されて凍えきった身体をじんわりと癒してくれるコタツに入り込んで食べる、



 アイス !


「…が、最高ですよね!」
「………何を言っているんだ貴様は。」
「僕は蜜柑よりアイス派です。」
「一体何の話だ…。」

ん〜〜〜っ、おいひい!
と、冷えて痺れた舌で舌不足に吐いた台詞に、如何にも分からんといった表情を浮かべるピッコロさん。
首を傾げる彼はとーってもかわいくて、本当に幸せ。
お正月の内一日を、大好きなピッコロさんと過ごせるなんて…。
お陰で、新年早々僕の心は羽が生えた様に軽い。


ところで、僕はふと思った。

ピッコロさんは普段水しか飲まないのだけれど、アイスは食べれるのだろうか?
余計な糖分は摂らない方が良いのだろうか…。

色々と心配な部分はあるものの、僕は好奇心を抑えきれずピッコロさんに問いかけた。


「ピッコロさんは、アイスとか…食べれたりしないんですか?」

ピッコロさんは、僕の問いに対してふと考えた素振りを見せる。

「…口にした事が無いから何とも言えんが。」
「そう、ですよね…。 あの、良ければ一口食べてみません?」
「別に、そう気を遣わんでも…」
「僕がっ!ピッコロさんと、美味しいの共有したいんですっ…!」
「…っ。」

僕が気を遣ったのかと勘違いしてしまったピッコロさんの誤解を必死に解くと、彼は何だか急に頬を赤らめた。(といっても赤くは無いのだけれど)

…どうしてだろ?


「わ、かった…っ。分かったから、そんなに引っつくな!」
「ほんとですか!?」

有難うございます、ピッコロさん!
と言いながら、僕はコタツを出て胡坐を組んで座っているピッコロさんの目の前に移動した。


未だ頬を染めたままのピッコロさんの口元に、そうっと溶けかけのアイスをもってゆく。
すると、恐る恐るとした様子でピッコロさんの舌先が顔を出した。

藍色のそれが、形を崩した白いアイスの頭を撫ぜる。


「…ッ、」

冷たいな。
と、独り言をいいながら、慣れないのかぺろぺろと何度もアイスの先端を舐めるピッコロさんを見ていると、僕は何だかいけない気持ちになってしまった。

ああもう今年も始まったばかりだというのに、僕は早々に何を考えているんだ…!

そうは思いながらも、
一度そんな目で見てしまうとどうしようもなくなっちゃって。

「ピッコロさん、あの…」

我慢出来なくなってしまう前に、彼の行為を止めさせようと声をかけたその時。


「む…。」


とろり、と。
アイスが、彼の唇の端から顎へかけて、流れていった。



すみませんピッコロさん。

……もう、我慢なんて出来ません。



「ッ、んンッ…!? 、っんむっ、ぅ…っ!」

線を引いた白いソレを親指で拭いとっている彼の腕を強く掴むと、
何事かと抗議したかったのであろう咄嗟に開いた彼の唇を深く奪った。

「っ…、ふ、ッ、んぅっ、う…ッ!」

未だキスに慣れないらしい彼は、既に息苦しそうにしている。
生理的な感覚に染まった頬が、困った様に此方を見つめる瞳が、熱く厭らしい吐息が、

彼の全てが、僕の思考を麻痺させる。




「…‥‥ふぁ…、はっ…、ぁ、はぁ…。」

やっと解放された事で、肩を震わせながら息をするピッコロさん。
あーもう、…かわいすぎる。


「…、は、ぁ…、なっ、なに、する…っ。」
「ピッコロさんが、いけないんです…。」
「なっ…!!なにぃ…っ!? 、っ、んん…・・・ッッ!!?」

聞き捨てならないといった具合のピッコロさんの口を再度塞ぐ。

流石にまずいと思ったのか、
僕に掴まれていない方の彼の腕が、服を脱がしにかかった僕の腕を掴んだ。

けれどその力は通常よりも弱く感じられる程、頼り無くて。

ああ、もう…。
 なんて健気で可愛い人。


「待っ……悟飯っ・・!」
「・・はっ…、、何ですか、ピッコロさん。」

迫り上がる息を抑えきれないままに、彼に問う。

「な、に、じゃなくて、だな…っ!」

こういう時、どういう反応をとればいいか分らないのだろうか。
彼は涙を浮かべたまま、落ち着かない様にしている。

だけれど。

僕が、小さな抵抗をしている彼にどうしようもなく欲情しているという事実を、当の本人は全く分かっていなくて。

それがまた可愛くて、僕が更に貴方を欲してしまうんです。
なんて言ったら、彼は卒倒してしまうだろうか。

それもそれでかわいいな、なんて思ってしまう僕は、結局のところピッコロさんばかなのだ。
ピッコロさんが何をしても、僕はかわいいとか、色っぽいとか、いやらしいとか、そんなことばかり考えてしまう。



「っ〜〜〜〜! 悟飯っ…!やめっ、…、っ止めんか……!!」

懇願しても尚手を止めない僕に、ついに彼は懇願した。

僕は、いよいよ本気で抵抗しだしたピッコロさんのもう片方の腕を掴むと、完全に自由を奪った。
そして、今にも泣き出してしまいそうなかわいいピッコロさんの耳元に近づく。


「ヤです。 だって…、」


あなた、かわいすぎるんですもん。

そんな事をいえば、息を詰まらせた彼に微笑むと、済し崩しに倒れ込んだ。










かわいいあなたとどこまでも。
(完全に溶け切ったアイスと共に、貴方をおいしく頂きます。)

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