あ、と声を発する事も出来ないまま
とんでもない所へと攻め入ってきた侵入者を押し出そうと藻掻く己の孔が、更にガノンドロフを追い詰めた。
孔が動けば動く程、それが少しずつ奥に迫ってくるのだ。

史上最悪な異物感に苛まれガノンドロフは眉間にこれでもかと皺を寄せる。

痛いというわけではないのだが、むしろ痛みを伴ってくれた方がまだマシだった。
今までに感じた事の無い未知の感覚に、身体がやめてくれと悲鳴をあげる。

「っ、ぐ…っ!」

下からの圧迫に、ガノンドロフの息が詰まる。
呼吸をする事がこんなにも難しかったなんて。

何とかこの場を打破したいガノンドロフに更に追い打ちをかけるかの如く、
触手は己のぬめりを利用して、彼の奥深くまで一気に滑りこんできた。

ガノンドロフの身体が大袈裟に跳ねる。

「っ…はっ――――ッ」

苦しげなガノンドロフの様子等意に介さず、モーファは奥まで入れ込んだ触手を一度入口までゆっくり引き戻すと、再度中まで挿入させた。

ガノンドロフの額には粒状の汗が蔓延り、彼がどれほどの苦しみを味わっているかが容易に想像出来る。


「んっ、く…」

幾度か同じ動きをされているうち、ガノンドロフの身体に、明らかな変化が見えてきた。
大分解れたそこは熱を持ち、触手を追い出すどころかまるで自らへ引き寄せるかの様な動きを見せ始めたのだ。
そして荒く苦しげな息を吐いていたガノンドロフの口からは、あの時の様な声が。

しかし一番の変化を遂げたのは、彼の秘部分だった。
出し入れを繰り返される孔からは、いつしか触手のものでは無い水音が聴こえ
動かされる度に中から生産される腸液は中で留まりきれずに、彼の逞しい太股を厭らしく辿った。

とろぉ…と、ガノンドロフの太股をゆっくり這う腸液を、触手は勿体ないと言わんばかりに先端で絡め取った。
瞬間、ガノンドロフの身体がぶるりと震える。


こんなことをされる内、ガノンドロフの前は完全に出来上がってしまっていた。
目を背けたい程にそそり起った先端からは先走りが漏れ、今にも白濁を吐き出さんばかりに己を主張している。


「ッはっ・・っはぁ…、ぁっ・・…っ、、」

ああもう何でもいいから。
ぬめりを帯びたそれで、今すぐ、力強く擦って欲しい。

頭の中を、その考えだけが支配する。

しかしそんなガノンドロフの心情を汲み取る気が更々無いらしいモーファの触手らは、彼を揶揄うみたくペニス付近を徘徊するだけで少しも触れようとしない。

焦らされれば焦らされる程、ガノンドロフに苛々と切なさが募る。


「―――っ、あ…ッ!」

急に、ガノンドロフが短く喘いだ。

すっかり存在を忘れていた胸を、触手が撫ぜたのだ。

数十分前まで構われていたそれらは、久々の刺激に恍惚とする。
一番厄介だったのは、その刺激が、下半身を直撃したことだ。

触手が頂きを掠める度孔が酷く収縮して、ガノンドロフを困らせた。










どれほどの時間、胸だけを弄られていたのか。
最初はむず痒い様な中途半端な刺激だったのが、今はぴりぴりと鋭い電気を帯び確実にガノンドロフの意識を蝕んでいた。
その証拠に彼の下半身はぐじゅぐじゅに濡れ、次から次に生産される吐息に追いつかずあれだけ頑なに開ける事を拒んでいた口はうっすらと開かれている。


「ふは…、はぁ・・、、」

抵抗はもう無かった。
 …いや、出来なかった。

不本意すぎる刺激にうっかりその気になってしまった自分の分身が、悲鳴をあげてガノンドロフをこれでもかと追い詰めていた。

そこに刺激が欲しい。
今、ソコをどうかされれば、確実に天国を見る事が出来るというのに。

しかし不自由な手足では、どうにもならなかった。
もどかしくて、辛くて。 今にも羞恥を捨て去り無様に懇願してしまいそうになるのを、必死に堪える。


だが大人しくなったガノンをいいことに、モーファの行為は遠慮を失くすばかりだった。

「んん…っ」

もやもやとした感覚がガノンを襲った。
最早止める事の出来ない腰が、くねくねと厭らしく踊る。


「ッ、ふァ・・っ」

一瞬。
触手の一部が、ガノンの半身に触れた。
しかし文字通り触れただけで刺激を与えようとする気配を一向に見せない。

「ふぃ、・・・っ、っぅ、」

するりと竿部を撫ぜ、触手は苦しげにするガノンを嘲笑う様に其処から離れた。



もどかしさに頭が可笑しくなりそうだ。
すっかり蕩けきった役立たずの脳では、もう逃げ出そう等と考える事も出来ないのに。

「はっぁッ…くふっ・・・、ぅっ、ぅ」

ガノンドロフの表情が泣きそうに歪む。
欲を吐き出したくて堪らないのに、自由を奪われた両手ではどうする事も出来なかった。


一筋の涙が、ガノンドロフの頬を伝った。
ついに我慢の効かなくなった身体は、ガノンドロフの思いとは裏腹に正直に反応を示す。
堰を切った様にぼろぼろと涙が溢れる。


「っく、…ひっ、う・・・っ」

嗚咽まで漏らし始めたガノンドロフをあやす様に、触手が頬に触れる。

お願いだから…!
そんな思いを宿した瞳に、無機質な表情をさせた触手が映る。
しかしその姿は直ぐに歪んだ。


「んひ――――ッ・・・!」

いきなり、大きな衝撃がガノンドロフの脳天を突き抜けたのだ。

何が起きたのか分からないままに、彼のペニスから白濁が飛び散る。
そしてそれを皮切に、今までゆったりとした動きだったのが嘘の様に、激しく触手が動きはじめた。


「イッ――――、あ゛っ・・・・っ゛っ!!」

先端から二度目の飛沫が起こる。
それの最中に奥を抉られると、今度は透明な液体が飛び出した。


「っ、!っ、!っっッ、―――――ッッ、っつ!!!!」

びくっ!びくっ!
と、陸に打ち上げられた魚の如くガノンドロフの身体が痙攣する。

恥部は歓喜で狂ったようにひくひくとした動きを止められない。


「アッ、!あ、アひィッい゛ッっつ!」

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を、触手が這い回る。
耳にまで細かいそれが侵入してくれば、下の方はまずかった。

「はひっ、はィ゛っ・・・・っ!っ、っ!、ひっ」

体内を暴れまくる欲は底知らずで、
いつしかガノンドロフは涎を垂らしながら霰も無い大きな声を惜しげも無く晒していた。
















目が覚めると、其処には天井があった。
頭が酷く痛みやっとの思いで身体を起こすと、直ぐに激しい眩暈に襲われた。

しばらく動けずにいながらまるで夢を見ていた様だと他人事みたいに思いながら
鉛の様に重くなった身体を叱咤しガノンドロフはその場を後にするのだった。



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