いくら闇を貪って貪っても腹が満たされぬこれは何だろうか。
闇の姫を捉えれば、魔力が満たされるのか?
光の姫を喰らえば、理想を手に入れられるのか?

「のう、タートナックよ」
『・・・・・』

独り言ちていても埒が明かぬと、隣に鎮座するタートナックに問うてみた。

しかし、俺の頭はとうとうイカレてしまったのか、こやつが口を聴けぬ事を失念していたらしい。
なあどう思うと聴いてみても奴は答えない。
カシャリ、と小さく鎧を鳴らし、此方を伺い見るのみ。

・・・なんともつまらぬ。

俺は心の中でため息を吐くと、前を向き直した。


空が黒い。まるで今の俺の様だ。
―― 今の?

不思議な事を思うものだ。
俺の心は、いつだって黒一色だったではないか。

喜びも憎しみも、俺には存在しない。
着々と己色に染まりゆく帝国を見ても、それが当たり前なのだとしか感じる事が無い。

それなのに。


闇の姫が連れていたあの緑の青年を見てからの俺は明らかに可笑しい。
自分でも制御し切れない、味わったことも無いこの感覚。

うずうず、いらいら、もやもや、

何と形容し得ようか。
もしかしたら、こそばゆい、なんてものかもしれない。

何せ、今まで感じた事が無いのだ。言葉に出来ようはずもない。
よもやこの様な感情を体験する事になろうとは。


先日目撃した緑の衣を纏った男―――。
奴の目は、不安と悲しみに満ちていた。

普段であれば俺を満たしてくれるはずのその目の色は、どうしたことか俺に衝撃をもたらした。
奴の瞳には、そんなものを映してはいけない気がしてならなかった。



「………意味が分からん。」

自分が。
胸中でそう付け足して、頬杖を突いた。

「、?」

はあ、と。
思わず二度目のため息が、今度は口から吐き出されそうになぅったその時、俺の横で石の様に固まっていたタートナックが、急に此方を振り向いた。

これには素直に関心してしまった。
普段、俺の命でしか鎧を鳴らす事の無いこやつが、自らの意志で動き出すとは。


「・・・何の真似だ貴様」

瞬間、頬を刺すような冷たさが襲った。
タートナックが、俺の頬に触れたのだ。

「まさか、この俺様の首を討とうというのではあるまいな。」

一瞬にして、俺の目に殺意が籠る。
まさかこいつに裏切られようとは――。

「何か反応を示したらどうだ」

俺に、ほんの少しとはいえ殺気を向けられ動じないこいつには、不本意ながら驚かされる。流石は俺の側近とでも言おうか。

『・・・・・・・・』

一向に離れる気配の無い無機質な手に触れると、奴の身体が小さく、本当に小さく反応を示した。

「俺を殺す気はないらしいな…?」

こくり、と
奴は一つ頷いた。


「・・・・おまえの口が利けたなら、共に盃を交わしたかったな」

本当に惜しい奴だと付け加えると、どうやら満足した様にして俺の頬から離れていった。

その際、奴の手が俺の下顎を掠め、何ともいえない痺れが走った。
この感覚の名を、俺は知らない。







*****

ご無沙汰です。
ひっさしぶりに文書いたら指が動かん動かん。
意味わからん感じでごめんね。。

リンクに一目惚れしてしまったんだけど自分の感情に気付けないガノたまと、そんなガノたまを慕っているナックが書きたかったんだ…。

殺されるかもしれないのに躊躇いもせず自分に触れてきたナックの度胸に惚れ込むガノたまと、自分の立場をわきまえててもガノたまに触れたいナック。

それにしても黄昏のナックは何故あんなにエロかっこいいのか…。全くけしからんよ。
一枚一枚鎧が剥がれていく仕様といい、鎧が無くなったら途端に早くなったりといい…。
何でそこまでして私のツボをつく必要があるのか。任天さんぐっじょぶ
いつかナック×ガノとか書きたい…。うひひ
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