この世の生き物というのは、たとえば『仕事』をすればどうしても体力や精神力を削られる。その削られてしまった体力等を補い、回復するために必要なのが、三大欲求の一つ、睡眠である。

それはどんなに強くてどんなに人々から恐れられている大魔王にも、少なからずとも必ず必要になるわけで、俺はそこを狙おうと決めたのだった。

時がきたわけでは無い。だが、悪の根源を経つに早いもなにも無いのだ。むしろ、早ければ早いほどいい。だのに賢者達や相棒ときたら、『時が来るのを待て』だの『時が来ればおのずと道も開ける』だの戯言を言うばかりで実行しようとしない。  俺は、いい加減焦れていた。




―――――――― 決行は、今夜。 大抵の魔物は、魔力が満ち溢れる満月に十分な休息をとり、大きな戦いに備えるのだと、以前相棒に聞いたことがあった。ということは、大魔王も然り。
今日という満月の日は、隙が出来るということ。これを逃す手は無いだろう。







気配を極限まで殺し、宿敵であるガノンドロフがいるであろう城の頂きを目指す。

周りを見渡せば、油断しきっている魔物たちが意味の無い見回りをしていた。
見れば目はとろんとしており、なるほど相棒の言った通り今日は魔力が辺りに充満し、下級の魔物達はそれに当てられたらしい。足取りはおぼつき、ふらついている。

城の中枢まで来たあたりで、物陰に隠れて中の様子を伺ってみる。
流石に中は警戒が多少強くなっているらしい。中級程の魔物の姿がちらほら見えた。
いつもなら、あのくらいの魔物であれば敵では無いのだが、今日のところは目的が目的であるので、遠回りしてツタを上っていくことにした。


―― ようやく天辺まで登りつめた頃には、流石に身体中に汗がふつふつとわき上がり体内がぽかぽかとしていた。
何だか今日はやたら息があがるのが早い気がする。俺も、もしかして魔力の毒気にあてられたか…?等と思いながら、気だるい身体に鞭をうち窓からの侵入を果たした。



内部は非常に薄暗く、松明のぼんやりとした明かりだけを頼りに歩を進めていけば、何やら固まりが見えてきた。
近づけば近づくほどはっきりと見えてくるそれが求めていた人物だったのだと知った時には、手を少しでも伸ばせば奴に届いてしまう距離まできたころだった。





「―――っ!!?」

「やあ、ガノン」



俺が寸前まで近づいてきているのにも関わらず全く目を覚まそうとしないガノンを良いことに、口を右掌で抑え思い切り圧力をかけてやると、詰まったような息を吐き、細い目を見開いた。

絡まった俺の視線と、ガノンの視線。視線はそのままに、俺はガノンの目を見据え、にやりと口の端をあげ厭らしく笑ってやった。
それを見たガノンの、驚愕と嫌悪に満ちた表情が悪くないなどと思ってしまった俺は、実は余程の変わり者だったのか、それとも虚無しか無い現実の世界に飽き飽きしてしまっていたかのどちらかだと思う。(後者だとしたら思いっきり勇者業失格だな)


「あまりにも無防備すぎやしないか?…ガノン」

「き、さま…っ!!どうやって…!」

「ああ、外の兵士たちさぁ、魔力の毒気にやられてて、俺の存在に誰一人として気付かなかったぜ?金だけ貰って仕事しない連中ばかり集めたんだな。…まぁ、しないんじゃなくて、出来なかったんだろうけど」

そう言って鼻で笑ってやると、ガノンはますます眉間に皺をよせ、切れ目を更に鋭くさせた。
子どもの頃は、ただただ圧倒されていた俺だったが、あまりにも立場が逆転してしまって、今この状況が愉快で仕方が無い。15年間生きてきて、こんなに楽しいことが今だかつてあっただろうか。   いや、無かった。
でなければ、俺は相当の悪趣味ということになってしまう。…まぁ、俺の下で睨みをきかせてるガノンを見て欲を覚えてしまうくらいだから、やっぱり俺って悪趣味だったのかも。デクの木様、ごめんね。


「くっ…小僧、今すぐその手をどけないと後悔するぞ」

「へぇ…俺が? それとも  あんたが?」

「貴、様っ、ぐ…!?」


今まで顎に添えていた手をずらしガノンの口内へと指を侵入させると、奴は大げさにも肩をびくつかせ更に驚いた表情を見せた。
俺の行動や言動一つ一つに反応するガノンを見ていたら、自分の中の薄汚いモノが満たされていくようでとても気持ちがいい。出来るならばこの感覚をずっと味わっていたいものだ。


舌の上に少し爪をたてた後、口蓋を刺激してやれば、奴の口内はたちまち唾液が溢れてきて微かな水音を響かせた。
飲み込み切れなかったのだろうソレは、ガノンの顎をするりと降りて首元まで濡らした。俺はそれを見て、なんとも情欲的だ、と思う。


「っ、ッ…ふン、ん、はっ、――ッぐぅうう!」

「ごめん、苦しかった? 唾液がたくさん流れてきた」

「は、ぁ゛、ふざ、けるな…このっ…んぁ!!?」

「どうしたの、ガノン。ここ、こんなにして…もしかして、今ので反応したのかい?」

「―――っ!黙れ!!」


なんと、所謂スキモノというやつは、俺の他にもいたようだ。
俺に口内を攻められただけで、奴の下半身は半分出来かけていたのだ。
何ともインランな魔王様じゃないか。俺はすでに、口元が緩むのを抑えきれなくなっていた。


「なぁ、ここ…触って欲しくないか?」

「――っ!? このっ!やめろ!!貴様、何考えて…ッッひぅ、ァッ・・!!クソッ…、触る、なぁあ!」

「嫌だ。」


それにしても嫌がり抵抗するガノンは以前と比べかなり力が無いように思える。



「ねぇ、ガノン…?前よりも弱くなった?」

「そんなわけ…っなかろう…!」

「じゃ、もしかして、毒気に…あてられた?」

「〜〜っ!」


どうやら図星らしい。大魔王ともあろう者が、月夜の毒気にあてられるだなんてとんだお笑い種だ。
まさか自分が仕えている魔王が、月夜にこんな弱体化するなんて知れたら暴動が起こるのなんて目に見えている。それは、ガノンとしてもご免こうむりたいはずだ。


「なぁ、この事、他の誰にも知られたくないだろ?」

「ふん…たとえ弱みを握られたとて、暴動なぞ起こそうものなら、そいつらをこの俺様自ら葬ってやるまでだ」

「そうか…じゃ、俺も葬ってみな?」


流石魔王様とでもいおうか。なんとも強情だ。まぁ、分りやすい挑発に易々と乗るような相手じゃないか。

こうなったら、実力行使しか無いわけだ。



「――――っっ!!? っあ!き、さま…!何、を」

「ほら、俺を葬ってみなって」

「っ、この・・ッうあ!」


何ともまぁ素直な身体をしていらっしゃることだ。少し強くそこを握ってやればすぐにむくりと反応し、どくんと脈をうったのが、パンツ越しにでもわかった。


「…へぇ?随分と感度がいいんだな、ガノン。大魔王ともあろうものが、こんなインランでいいのかよ?」

「っ、こ、ぞう…がぁああ!」

「おっと! あっぶないなぁ、少し静かにしててくれよ」


前言撤回。
この魔王様は、どうやら最初から俺の安い挑発にまんまとひっかかっていたらしい。突如、奴の右腕が俺の顔目掛けて勢いよく降りかかってきた。
俺はそれをすれすれでかわし、ガノンの右手を抑えつけてやった。
そして空いている方の手で、パンツ越しにガノンのそれを上下に緩くさすり感触を楽しむ。
その間、漏れ出す吐息を必死で抑えようとするガノンを見ていたら、何だか心臓がきゅんとなって、少し息苦しかった。


「ほら、もうこんなに大きくて固くなってきたぜ?」

「ッ、ぅ、この・・ッ!ぁ、ぐっ…ふっ、ふ、」

「苦しいなら声出せば?」

「誰が…っうひァ!」

「ははっ我慢は身体に毒だぜ?」


どうあっても声を出したくないらしいガノンは、腹筋に力を入れ、全身が強張っている。
俺は(勿論嫌味という意味で)それを解してやろうと、直接ガノンの肌に唇を落とし時折吸って刺激をあたえる。
すると、ぴくりぴくりと小さな反応を繰り返し、詰まるような声をあげる回数が格段に多くなった。
見かけによらず、敏感な肌をしているらしい。なんとも可愛いじゃないか。


「きひっ…!いあッ、貴様…!何してる!」

「何って…出したいだろ?手伝ってやるよ」

「い、から…や、めっ! ア、ぁ、んっ! くっ、ァ゛」

「はっ…すげ…ぐちゃぐちゃ」

「ひ、ひ…、ぃあ、だ…ッそこ、嫌だ…っ!」


竿を上下に扱いただけで、先の方から透明な淫液がとろりと溢れだしてくる。俺がそれを絡め取ろうと、先端を擽った時だった。
一際大きくガノンの身体が反応し、さらに蜜を溢れさせた。


「なに、ここ?ここが好きなのか、ガノンは。 だってここ擦るとさぁ、すごくたくさん出てくるぜ?ガノンのイヤラシイのが、さ」

「頼む、もっ…ああぁあ゛!! ひゃ、めぇ…!そこ、っそこ、いあだぁああ!」

「嫌、じゃないだろ?嫌の反対の言葉、聞きたいんだけど」

「いあ、ァ…ッっ、!!」

「なぁってば。『好い』って言うだけだろ?」


中々素直にならないガノンにいい加減焦れてきた俺は、さらに追い打ちをかけるように先端を触っている人差し指の先に力を入れ、他の指はそのまま、更に強く上下に摩ってやる。


「ひぃいいっ!!? やめっ、ろ…やめて、くれッはぐっ ぅう…っ!!」

「…違うだろ?『好い』って、言って」

「はっ、ハ…ぁっ、ァ、、」

「はぁ、もういい。」

「え、…っ!!? あ゛っ、あぁあああああ!!!やめっ、やめろ!ぁっ、ひぐぁ…!」


本格的に苛立ってきた。
何なんだ、こんなに感じて、やらしいの沢山出してるくせに。
俺は力任せにガノンのそれを上下に扱きあげ、飛散る白濁は目に映さず、むしろその滑りを利用して更にガノンを追い立てる。


「あひっ!ひ、ィ、いっ!あ、あ、あ、ア!い、ぃ…っ、好い、からぁああ!!」

「…最初から素直にそういえばいいんだよ。」

「ふひっ…ひ、は、、ぁ、ぁ…んっ、」


最後に飛び散った白いそれを絡め取り、ガノンの下唇に塗ってやれば、ガノンは泣きそうな(もうすでに少し涙を流しているが)表情を更に歪め、「んっ」と反応を示した。



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