企画 | ナノ

「よぉ、苗字ちゃん。一緒にメシ食わね?」
「うん、いいよ」

 同じクラスの高尾くんに声を掛けられ、私達は屋上で昼食をとることにした。高尾くんは緑間くんと同じバスケ部で、よく一緒にいるのだが……というか高尾くんが一方的に緑間くんに絡んでいるのだが、今日は珍しく一人のようだ。考えていることが顔に出ていたのか、高尾くんは微妙な表情で行った。「いつもびったり真ちゃんにくっ付いてるわけじゃないぜ」

「ふふ、ごめん。でも珍しいね、私のとこ来る時は大抵セットなのに」
「誘ったんだけどさー、なんか占いの結果がどーのこーのって言って断られたんだよ」

 意味わかんねぇよなって肩を竦めて苦笑する高尾くんは、そう言いながらも意味解んない緑間くんが大好きなのだろう。何だかんだ言いながらも緑間くんに振り回されるのが楽しいようだし。でも、毎度リアカーを引かされてるのはちょっと可哀想だなぁと思う。
 屋上に着くと、適当な場所に腰を下ろした。私は弁当を、高尾くんは購買のパンを広げる。私には到底食べきれない量のパンの数だ。

「そういやさぁ、もうすぐ真ちゃんの誕生日だよな」

 おかずの卵焼きを頬張ると、高尾くんがおもむろに口を開いた。私はゆっくりと租借すると、そうだねと頷いた。

「ていうかよく知ってたね」

「前に聞いてさー。七夕だし、覚えやすかったんで」高尾くんは惣菜パンに噛り付いた。「苗字ちゃんは何かプレゼントとかすんの?」

「うん。毎年何かしらあげてるんだけど、今年はどうしようかなって」

 毎年ものすごく悩むんだよね、と言うと高尾くんは納得したように笑みを零した。緑間くんの好きそうなものなんてバスケットと占いしか知らないけれど、そんなものをプレゼントしても喜びそうなイメージは浮かばなかった。

「どうせだったら、真ちゃんに内緒でびっくりするようなプレゼント渡してーよなぁ」

 高尾くんの言葉に強く頷いた。付け加えるなら、喜んでくれそう、な物だ。でもそれって一体何だろう……私はさらに頭を抱えた。うーむ、全く浮かばない。試しに高尾くんにどんな物だったら嬉しい? と尋ねてみたら、「俺のなんて全然参考になんねーよ!」と笑われてしまった。その通りすぎて何も言えない。
 この機会に高尾くんに相談しようと密かに考えていたのだが、この分じゃあ自分で考えるしかなさそうだ。むしろ
余計に難しくなった気がする。これはもう本人に聞くしかないんじゃないだろうか。




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