翌日掲示板を見ると、私の名前があった。指揮は誰か、それだけが淡々と書かれた無愛想な紙切れ。

なんとなく思った。
誰も着いてきてくれない。誰も信じてくれない。それでも、頑張らなければいけない。
限界はもうすぐそこかもしれないし、そんなものはもうとっくに超越したのかも知れない。

だけどたった今、一つ分かったことがある。


「なんでみょうじが」
「あいつに指揮なんて無理だろ」
「局長は何考えてんだ」


そんなこと、言われてもね。掲示板の前に集まる隊士から少し外れたところに立つ私の目から、生暖かい何かが伝った。









あれから出発までの一週間は地獄だった。
女同士のねちねちしたイジメとかではなくて、男ならではのやり方。実に直接的。

何かあるたびに沖田隊長が助けてくれたけど、その度に私の評判はまた落ちていった。

今の今まで気づかなかったけれど、今回の遠征はすごく大きい計画だった。主に一番隊二番隊が主体で、もちろん沖田隊長だって参加。

そんな中で私が指揮になったのがまたいけなかったらしい。
なんで私が選ばれたのかとか、なんでこんなに嫌われるのかとか、もうそんな事はどうでもよかった。ただひたすら、がむしゃらに課せられた任務を果たすだけだ。


「おいみょうじ」
「は、はい」
「おまえ、大丈夫か」
「えっ」
「大丈夫か」


屯所の廊下を歩いていたら、副長に突然話しかけられた。
私は副長の言っている意味が分からなくて、まあ大丈夫っぽいです、と曖昧で適当な返事をしてその場を後にした。

大丈夫、私は大丈夫だ。
なぜか急にそんな自信が湧いた気がした。
たとえ嫌われようと、陰口を言われようと、私は、大丈夫だ。



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