「なまえちゃん、その仕事終ったらちょっと局長室きてくれる」
一時間程前に近藤さんから発せられたこの言葉を思い出しながら、局長室の襖をノックする。
「近藤さーんみょうじです」
「おお、待ってたよ。入って」
「失礼します」
襖を開けると、中にいたのは、たくさんの書類をかかえた近藤さん。こんなの珍しい。
「とりあえず、そこ座って?」
私はあらかじめ用意されていた座布団に座った。近藤さんは私の方を向きなおして正座する。優しい顔なのに、緊張感が半端じゃない。
「今、地方での攘夷活動が盛んになってるのは知ってるね?」
「はい」
「それぞれの地方に、いくつかのグループを真選組から派遣する事になったんだ」
「はい」
「それで、なまえちゃんに、奥州の方の指揮をお願いしたいんだ」
私なんかで大丈夫なのかとか、同じグループの隊士の人ときちんと会話できるだろうかとか、そんな事を考えてる余裕も無かった。何のために真選組に入ったか、ということ。
「私、やります」
「奥州は、相当過激だよ?大丈夫?」
「大丈夫です、やらせてください」
大丈夫、私の意志は揺るがない。