まあなんとなく予想はしてたんだけど。
女ははじめてって時点で危ないなとは思ってたんだけど。

まさかここまで嫌われるとは。さすがに想定外。

結局あの後は、前の方で朝の会議を聞いて、沖田総悟とやらを紹介された。
同い年だから名前で呼んでやれ、と近藤さんには言われたけど、先輩は先輩だし、上司は上司。
っていうか同い年でこんなに出世してるひといるんだ。凄いなあ。


「なまえ、」
「なんですか」
「お前、いつから剣道やってんでィ」
「ちっちゃい頃です」


沖田隊長はへえとだけ興味なさそうに呟いた。


「ていうか何で敬語なんでぃ」
「上司だからです」
「年上に敬語使われるのは好きだけどねィ。同い年に敬語使わせる趣味はないでさぁ」


……だからどうしろと。


「んな事いいんです。早く私に仕事教えてください」
「土方を抹殺しろ」
「はあ?」











そんな調子で何となく仕事を教えてもらって、一ヶ月近く経った。仕事は一通り覚えて、隊士の名前と隊士同士の人間関係も、なんとなく分かるようになってきた。今はもう、一人で見回りにも行かせてもらえる。

けど私はやっぱり認めてもらえなくて、ほとんどの人と会話を交わした事が無かった。
ちょっとだけ寂しさを感じつつ屯所内を歩いていると、誰かの声が聞こえた。


「あのみょうじなまえ、今度は副長を狙ってるらしいぜ?」
「まじかよ!沖田隊長の次は副長かよ!これだから女は」
「真選組に入るときも、局長を誘惑したって噂だしな」
「まあ所詮その程度の女。すぐやめるだろ」


そんな事言われるの日常茶飯事。
だけど、さすがに一ヶ月も続くと疲れてきてしまう。どうやったら認めてもらえるかは分からないし、まともな会話をしてもらえる気もしない。

本当は泣きそうだった。
だけど、こんな事で負けてちゃ、攘夷になんて立ち向かえない。

私は、他の隊士を避けるように、毎晩みんなが寝静まった後に素振りを続けた。



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テーマ「人外ファンタジー」
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