それはもう、ずっと昔の話。小学校低学年あたりだったと思う。
いつもの様にピアノを習いにいって、自分の家に帰った時だった。
家のまわりは真選組と、そのパトカーと、救急車。
私は近くにいた真選組の服を来たごりらっぽい人に声をかけた。


「……あの、」
「ん?どうしたんだい?」
「ここ、わたしの家……」
「!、……君か」


ごりらお兄さんはにっこり笑って私の頭に手をのせて、笑った。



私がはっきり覚えているのはここまで。

あの時、私の両親と妹は攘夷浪士に殺されたらしい。何でも、昔の仲間と勘違いされたとか何とか。
私の事は、江戸に住む遠い親戚が育ててくれた。

親戚夫婦はそれはそれは優しくて、大好きだったけど、本当の両親も大好きで、私は攘夷というものを酷く恨んだ。

そして「いつか攘夷、やっつける」という何とも小学生らしい夢のために、剣道を始めた。

私は、庭に植えてある桜の木の側で、何度も何度も素振りをしていた。桜の木に、何度も誓った。私は、攘夷なんて許さない。絶対に。


桜色の約束




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