>> 酔っ払いと兄弟




佐助は酒に強いほうだし、普段は外で飲むことが多く、加減して飲んでいるため元親は佐助の酔った姿などほとんど見たことがなかった。

しかし今日は違った。自宅で、しかも次の日は休日という気持ちの余裕からか、佐助は見事に酔っぱらった。

「ちかちゃん…もとちかぁ」

舌足らずに名前を呼びぎゅうと抱きついてくる佐助に元親は困り果てた。佐助は完全に酔っている。

「んー…あっつい」

終電も近いし帰りたい元親だったが、佐助は気にすることもなく着ていた服を脱ぎ始めた。

「おいおい」

元親は溜め息をついて携帯を取り出した。この時間に呼び出すのは気が引けたが、この状態の佐助を一人にしておくのも心配だった。

「何だよ」

3コール目で不機嫌な声が聞こえた。

「あー…、佐助が脱ぎ始めた」

「What!?」

「なんかすげぇ酔って…ちょ、おい」

「ねーえ、だれと電話してんの」

電話の向こうで物音(と悪態)が聞こえたため、10分もしないうちに来るだろうと元親は腰に抱きついている佐助を引き離しながら携帯を置いた。

既に半裸になってぎゅうぎゅうと体を寄せている佐助を面倒だと思いながらもきちんと服を着せてやるのだから元親もかなりの世話焼きである。

「んー…ちかちゃんすき!」

「へいへい…って、うおっ」

佐助に突然タックル…基、抱きつかれそのまま後ろにバランスを崩しながらも引き剥がそうとする元親だが如何せん酔っぱらいの力は強く、四苦八苦していると玄関からバタバタと騒がしい足音が聞こえドアが開き政宗と幸村が入ってきた。

丁度いいと助けを求めようとした元親だったが、二人の体制を見た政宗と幸村は元親が喋る前に佐助を引き剥がした。

「佐助」

「あ、ゆきとまぁくん」

ターゲットが幸村達に移り、元親はため息をついた。差し出された政宗の手を掴み立ち上がると終電の時間も近く、別れを告げて家を出る。


「さて、仕置きだ佐助」

「手加減はしねぇぜ?」


玄関を出るとき聞こえてきた声と
次会った時におとずれる
政宗達からの自分への被害については
考えないことにした。








(あはは、やめて!くすぐったい!)
(仕置きだからな、)
(観念しな、佐助)




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