>> 甘い、甘い

メロニア
ワイミーズ



鼓動はありえないくらいに速くて、

体だって信じられないほどに熱い。

けど頭だけは不思議と冷静だった。


音をたてないようにドアを閉めて
部屋の中心の白いものに近づく。

近づいてみるとその白い物体は小さな寝息をたてて眠っていた。

「……ニア」

呼んでみても返事はない。
熟睡しているのだろう。
僕は横を向いて眠っているニアを挟むように膝をついてニアの寝顔を観察した。

白くてふわふわした髪、
すべすべでふにふにした頬、
長くてカールしてるまつげ。

ふと、ニアのそのふっくらとした唇にキスをしてみたくなった。

どんな味がするのだろう。

甘かったりするのだろうか。

考えると、
ますます衝動は抑えられなくなって、
僕は思いのまま行動した。





…正直、すこし残念だった。

ニアの唇は甘くなかったから。
今考えれば当たり前のことか。

「僕は馬鹿?」

「なぜですか?」

僕の独り言に間髪いれずに言葉を返したのはニアだった。

ニアはもぞもぞと起き上がって
眠そうに目を擦った。

「おはようございます、メロ」

「あ、ニア…起きてた…?」

驚きすぎてうまく言葉にならない。

「起きていましたよ」

「なっ…!……いつから…?」

「キスをされて寝ていられるほど私は鈍くありません」

ようするに、ニアは僕がキスする時には起きていたんだろう。
キスで目覚めたような言い方だがニアはそんなやつじゃない。

「それより、メロはどうして私にキスをしたんですか?」

「!…どうだっていいだろっ!」

「…やられっぱなしというのもなんなので私からも」



ちゅ…



「っ…!!」

突然のことで驚いたけど、僕は恥ずかしくて部屋から出た。



顔が熱い。

心臓がばくばくする。

これじゃあ部屋に入った時と同じだ。

違うのは、
頭も冷静じゃないってこと。



でも、一つだけはっきりしてる。





二回目のキスは、甘かった。








誰がなんと言おうとメロニア。
ワイミーズ時代はこんなかんじです。
成長すると立場が逆転します。


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -