>> 4 ――今宵、月が満ちる。 朝からどこか上の空な土方を心配した真選組局長、近藤は土方に休暇をとらせることにした。 「トシ…お前、俺達に隠してる事があるだろう」 近藤は真剣な眼で土方を見つめていた。 ―近藤さんは、多分俺達の事を知っているんだろう。 「なぁ、近藤さん…俺はどうすればいい?」 土方は俯いていて近藤からは表情が見えない。 だが、彼はわずかに震える声で呟いた。 「大切なモンの守り方なんて、知らねぇんだ…」 今まで組の為、近藤の為にと剣を奮ってきた土方は、繊細で崩れ易いものを守る術など持っていなかった。 ――今宵、月が満ちる 「晋助、拙者達を、鬼兵隊を、捨てるつもりか」 河上の声が静かな部屋に響く。感情の無い、それでいてどこか諦めたようにも聞こえる声。 「晋助はそれで満足なのでござるか?」 高杉は河上の考えが読めない。 「…てめェには関係ねぇ。」 「…そうでごさるな。だが…」 「…っ!?」 河上は高杉の腹を殴り、気絶させて抱え、船を降りた。 「拙者は晋助には幸せになってほしい」 「トシ、今日は満月だ。」 ―行くんだろう? 近藤は土方の背中を押した。 真選組局長としてではなく、 一人の友人として。 「っ近藤さん!俺はッ…」 土方は食い下がる。 「副長、高杉が待ってるんですよ。」 音も無く現れた山崎は言う。 「河上から言伝も預かってるんです。『晋助は主と共に生きる覚悟ができている。それは主とて変わりはないはず』と。」 淡々と、けれど少しだけ悲しみの色が滲む声で言伝を述べた。 「覚悟…」 「トシ、行ってこい。」 「副長、行くべきです。」 二人に背中を押され、土方は決意を固めた。 「あぁ、行ってくる。じゃあな、近藤さん、じゃあな、山崎」 月は満ち、 二人が揃い、路が重なる 「高杉、俺は覚悟を決めた。 お前と、共に歩んで行く。」 真っ直ぐに、偽る事無く、 高杉を見据えた。 「覚悟なんかじゃねぇ。 俺はお前に誓う。」 月は満ちた。 いくら月が欠けようと、 俺達の誓いが覆る事は無い。 小雪様リクエストで高杉→←土方←山崎でした。 リクエストありがとうございました! 私なりに解釈して書いたものですが、気に入って頂けましたか…? 若干山崎片想い要素が薄い気が… 高杉が気絶する程腹を殴る万斉って… 感想頂けたら嬉しいです!補足:3と4は時間軸的に言うと、4で万斉が高杉を連れ出す→3で高杉が土方を待つ→4で土方が来る。 です。 |