>> 2 副長と高杉の仲を知ったのは、 もう随分と前のことだ。 仕事でというのは知っていた。 いつしか、俺は副長の変化に気付いた。 副長は月が満ちる度に高杉との逢瀬を繰り返している。 二人は何度同じ月を見上げたのか。 確かに見た、満月の下、寄り添う二人。 監察でなければ…否、俺でなければ気付かなかっただろう。 彼の人が好んで吸う煙草の香り、 若干癖のある足音、 全てが俺の焦がれていたもの。 間違える筈がない。 だけど所詮俺は部下。 悟られるようなことがあってはいけない。 報われない、なんて今更過ぎること。 だけど俺は願ってしまう。 月が満ちるのが、少しでも遅くなってくれれば、と。 分かるのだ。 きっと彼は出ていく。 本人はまだ悩んでいるようだが、 これは感だ。 俺だって、伊達に監察をやっているわけじゃないのだ。 彼は絶対に出ていく。 だから少しでも、 ここに居てほしいのだ。 だけど夜空を見上げれば、 丸にほぼ等しい月があって、 あと1、2日で満月なるだろう。 もうすぐ月は満ちる。 どうかその時まで 貴方を想わせてください。 |