>> 可愛いあの子は最強でした

土山←銀



久々の休みで、誰にも(特に最近まで家に入り浸っていた幼馴染みに)邪魔されずに眠っていたところに突然のチャイム。

俺はどうせまたあいつが彼氏と喧嘩でもして逃げてきたのだろうと、内心(実際にもだが)舌打ちをしながらドアを開けた。それも起こされた腹いせに凄い勢いで開けてやった。のだが、

「うぁっ」

ゴンッ

聞こえてきたのは、奴にしては…いや男にしては少し高めな声で、慌てて確認すれば、

「あ、えと…こんにちは」

そこにはでこを押さえて涙目になった同僚の恋人兼俺の片想いの相手。

「あ?あぁ…こんにちは」

思わずフリーズした。え?なんで居るのこの子。てか首を傾げるな可愛いんだよこんちくしょう。

「あ、高杉くんはなんか用事ができちゃったみたいで遅れるってメールが来ました」

は?今日あいつが来るなんて聞いてないんだけど!?そしてここは話を合わせたほうがいいのか?どうすんだよ!!

「あの、迷惑ですかね?だったら俺帰ります…」

「いや!大丈夫!全然、俺も暇だったし」

心なしかしょんぼりしたジミー君に帰れと言うわけないでしょう!
これはチャンスだ。かれこれ2年も片想いをしてる俺への贈り物だ。

ジミー君をリビングに案内しながら俺は小さくガッツポーズをした。



「そういえばジミー君何しに来たの?」

甘めのミルクティーを冷ましながら聞けば、同じく紅茶を冷ますジミー君が顔を上げた。


「えと…、坂田さんの誕生日を祝おうって高杉くんに誘われて…夏休みとかもお世話になったので…あ、ケーキも持って来たんですよ」

そう言って取り出したのは少し小振りのホールケーキ。少々いびつなところを見ると、おそらく手作り。え、なにこの素敵な展開。

「世話になったつっても高杉が強引に連れてきただけだけど…とにかくありがとな。すげーうまそう。」

少し照れるジミー君。めちゃくちゃ可愛いんですけど。これはもうジミー君ごと頂いちゃってもよくね?いいよね?


「ジミー君…「坂田ァァァア!!!」…は?」

まさにジミー君を押し倒そうとした瞬間、いやに聞き慣れた怒鳴り声が聞こえた。

「あ、土方さん!」

そう、目の前の可愛いこの子の彼氏兼俺の同僚。タイミング悪すぎんだろ。てか鍵はどうした。オートロックだぞ。

「なに勝手に上がり込んでんの?多串くんまで呼んだ覚えないんだけど」

「てめぇこそひとのモンに手ぇ出すんじゃねぇよ天パ」

二人で言い合っていると、

「土方さんも坂田さんのお誕生会しにきたんですか?」

「「は?」」

ジミー君の空気読めてない発言に多串くんとハモっちゃったじゃん。なにこの子これで大丈夫なの?こんなんで生きていけるの?

「俺、ケーキ作ったんです!土方さんも食べますか?」

「あ、あぁ」

物凄くいい笑顔で聞いてきて、俺達はやる気を無くして席につく。




台所かりますね。とキッチンの方へ向かったジミー君を見て呟いた。




「「最強だな」」




あ、またハモった。














すべては高杉が仕組みました。
土方に鍵を渡したのも高杉。
当の本人は万斉といちゃいちゃしてます。
土方は仕事でしたが万斉を迎えに来た高杉に鍵を渡されて急いで行きました。

という補足がないと分からない駄目小説。


とにかく銀さんお誕生日おめでとう



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