>> 醒めない夢をなんと呼ぼうか

佐政



夢を見た。
あの人に愛されたくてもがいてた頃の夢。

僕はわるい子ですか?

僕は化け物ですか?

どうしたら僕を愛してくれますか?

僕は…、いらない子ですか?



「―――――」



「―――っ、は、…ぁ、」

久しぶりにあの頃の夢を見た。
孤独で、愛に飢えていた頃。

「はぁ、はぁ……!」

閉じた目を開くと目の前に佐助がいた。

「だいじょうぶ?」

顔を覗き込む佐助の顔はどこか不安げだ。

「ぁ、さすけ…」

寝起きで舌がうまくまわらない。

「…嫌な夢でもみた?」

佐助の胸板に顔を埋めて深く息を吸った。そうすれば過去から逃げられる気がした。
呼吸が少しずつ正常なリズムを取り戻してくると佐助が小さく溜め息をついた。

「佐助…」

今じゃもうあの人に愛されたいなんて思わないし、いつまでも子供のままじゃない。

それでも不安は消えなくて、
いつかこいつもあの人みたいに変わってしまうのかと思うと、
それがとてつもなく恐くなった。

「さすけ、…俺から離れるな…!」

佐助のシャツを皺になるくらいに握って、縋って、喚いた。
喉が痛くなるくらい喚いたあと、
俺は目を閉じた。

「政宗…大丈夫。俺様はここだよ」

そんな声が聞こえた気がした。








もしもこれが夢だというのならば、
俺は醒めない夢を見ていたい。





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