「おはようございます、由夜」

『……何で、ここにいるのよ』

「病み上がりでしょう?ですから迎えに来たんです」

『……そう』

「ちょっ、スルーしないでください…!!」



スルーしようがしまいが、どうせついて来るんだったら同じじゃない。

学校もクラスも同じなんだから。
スタスタと歩けば骸は自然と私の隣に来て歩幅を合わせてる。



「由夜、そういえば君が休んでる間に席替えをしましたよ」

『……、また面倒なことを…』



でも、どうせまた骸の隣なんでしょ?と付け足せば当たり前ですよと微笑んだ。
席替えはくじ引きのはずなのに、どうしたら何回も隣の席になるかな。



『毎度毎度、どう細工してるのよ、まったく』

「細工なんてしていませんよ、運命というものです」

『……頭が痛くなってきた』

「おや、まだ体調が悪いのですか」

『……』



白々しいにも程がある。
頭痛の原因は目の前のこいつなのに。

私が骸の言動に慣れるように、骸も骸で私がむっとしていても慣れた様子で隣を歩く。



「そういえば、雲雀恭弥はもう学校に行ったのですか?こうも邪魔が入らないと思わぬ落とし穴がありそうな気が…」

『恭兄なら入院してるけど。』

「は…?」

『昨日からね。私の風邪がうつったみたいで。」

「雲雀恭弥が風邪…?」

「そう。ふらふらした身体で無理に学校に行ったり群れを狩るから入院してもらったのよ』

「ほぅ……」

『……?』

「つまり今夜は一人、という事ですか、クフフ…」

『……』

「このチャンスは逃しません。今夜、泊まってもいいでー…」

『学校についたわよ』

「……」



話すんじゃなかった。
骸はまた馬鹿な妄想をしたんじゃないだろうか。

付き合ってられないとばかりに早足で教室へ。
がらりと扉を開けると、そこには個性的な髪型が一人、増えていた。



「おはよう、由夜…」

『な、何でここに、クローム』

「転入したの…。由夜の隣の席だよ…」

『隣?』

「うん…」



私の席は窓際の方の後方らしい。
千種君と犬は廊下側の一番前の席。
あの二人は随分と遠くなってしまった。

千種君は音楽を聴いているようで、こちらに気付いてないみたい。
犬は学校に来た早々、寝たんだろうか、既に夢の中。



「ここだよ」

『……』



私の席。
窓際、左側がクローム。
廊下側の右隣が空いてるという事は、まさか……



「もちろん、この僕ですよ」

『はぁ……』

「クローム、早いですね」

「今日なら由夜、来るかなって思って早く…」

「そうですか」



何で私、パイナップルに挟まれて授業を受けなきゃいけないんだろうか。
クロームはいいとして、隣には、また骸。

目が合えば骸は返事の代わりに、にこりと笑う。
ぱっと目を逸らして私は席へと座った。

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