「ワォ、もう起きたんだ」 『骸…』 「ツンデレラの王子は僕です!!それを何ですか!後ろからトンファーで殴って気絶させてロッカーに閉じ込めるなんて!!」 「埋められないだけマシだと思いなよ」 「思いませんよ!いい所取りしないでくださいよ…!しかもキスしようとして…!!それは僕の計画です…!」 『骸、あんたって、まったく……』 「油断大敵って言わない?由夜は僕のものだよ。君が王子なんて認めない。」 「君たちは兄妹でしょう…!!さっさとツンデレラを返しなさい、偽王子!」 「君が偽王子でしょ?」 「偽王子でなかったら堕王子ですね、クフフ」 三叉の槍とトンファーを取り出し二人は戦闘開始。 あぁ、もう何なの、これは。 せっかく終わるっていう時に、これじゃ並盛の劇と変わらないじゃない。 「ひぃぃ、劇がめちゃくちゃだよー!!どうするんだよ、リボーン!!」 「雲雀の野郎、他校の劇に乗り込むとはな…」 「ははっ、でも、いいよなー」 「何がだよ」 「由夜。すっげぇ綺麗なのな!オレも王子役やってみてぇ」 「や、山本…?」 『……』 「由夜、これ……」 『あ…、ありがとう、千種君…』 準備がいい王子の側近、もとい千種君。 トンファーを渡してくれて、これで準備は万端。 『骸、恭兄。いや…、そこのバカ王子二人!』 「ツンデレラ…!?」 「な…っ」 『いい加減にしなさい……ッ!!』 「待ってください!子供達が見てますよ!!」 『関係ない…!!』 顔を曇らせた二人に思いっきりトンファーを振り上げた。 ドレスで動きにくいけど、二人に攻撃してステージの中央に吹っ飛ばした。 「……っ!!」 「グ…ッ!!」 『……はぁ、はぁ』 「由夜、お疲れ様…」 『最悪な劇…!!……あぁ、そういえば犬は?』 「舞台袖で寝てる…」 『…よく寝れるわね、こんな騒ぎで』 「……どうするの?」 『何が?』 「……劇の結末」 『え……?』 忘れていたけど、ここは舞台の上。 王子達は倒れて舞台には私と千種君だけ。 『…やば』 「……めんどい」 誤魔化しようがなく、立っていると何故か園児達からは拍手喝采。 「戦うお姫様」の図が園児には好評だったみたいだ。 *** 好評だったけど劇はめちゃくちゃだったから並盛vs黒曜の対決は引き分けとなってしまった。 罰としてリボーンとかいう赤ん坊にボロボロになった幼稚園の後片付けを任された。 「お前ら、本当、しょうもねぇな」 「リボーン!元はといえばお前がこんな提案しなければ!!あぁ、もう!こんな掃除、いつになっても終わらないって!」 「アルコバレーノ、雲雀恭弥さえいなければ僕等の勝ちでしたよ」 「オレらだってな、雲雀の野郎が本気で攻撃してこなけりゃ完璧な劇になってたんだよ!そうですよね、十代目!!」 「う、うーん…、それはどうかなぁ…」 「ワォ、赤ん坊が特訓を兼ねてるから本気で殺れって言ったからやったまでだよ」 「リボーン…!!」 「ははっ、でも面白かったな!たまには、こんなのやってもいいんじゃね?由夜もそう思わねぇか?」 『え……』 今は並盛の黒曜も関係なく皆で掃除。 群れたくないから静かに地味に掃除をしていたのに不意に声をかけてきた黒髪の人。 山本武、だったわよね。 会う度に馴れ馴れしくて覚えてしまった。 「黒曜並盛合同でさ!ちびたちも喜んでくれたみてぇだし!なっ?」 『それは……』 「山本武、馴れ馴れしく僕の彼女に気安く声かけないでください」 「お前、六道と付き合ってんのか?」 『付き合ってない』 「なっ!」 「そうだよ、付き合ってるわけないじゃない。僕と同棲してるのに」 『兄妹だから当たり前でしょ、恭兄も彼氏彼女みたく言わないで。』 「ははっ、じゃあフリーって訳な?」 『………?』 「……」 「山本武…」 「ん、どうした?」 「僕の妹に手を出したら咬み殺すよ」 「彼女に手を出したらグサリ、ですから」 「ははっ、まーまー皆仲良くしよーぜ!」 「大体ですね!君みたいな者に由夜の相手が務まるとでも!?見ていたんですか!さっきの惨劇!!」 「劇のことか?可愛かったじゃねぇか、つか綺麗だった」 『え……っ』 笑いながら私の肩にポンと手を置く山本武。 その後、何故か骸と恭兄とバトルが始まっていた。 六道骸とはまた違う変な人だな、と思った。 『……』 夕焼けの中、幼稚園の掃除は続く。 劇が終わって明日からまた日常が戻ってくるんだと思うと少し安心した。 骸に追い回される日々の方がまだマシだと思った、ここ数日の出来事。 end 2009/01/05 |