骸はこの子達に何をしたんだろうか。
というか、変態でストーカーだという事が何で赤ん坊にまで知られているのよ。
並盛にまで情報が届くほど、あいつは変態だったの?



「ディーノから聞いたんだぞ」

『…今、言葉にしなかったのに。…あなた、何者?』

「そういう、てめぇが何者だっ!骸の仲間かっ!?」



威嚇してくる銀髪の男子を赤ん坊は気に止める事なく話を続けた。
怒ってるけど放っておいていいの?



「いいんだぞ」

『……また』

「読心術は得意なんだ。」

『読心術、ね…』

「そんな事はどうでもいい。お前、ボンゴレに入らねぇか?」

『ボンゴレ…?』

「そうだぞ、マフィアだ。ちなみに雲雀恭弥も入ってるからな」

「ははっ、マフィアごっこは人数いた方がいいよな!」

『マフィアごっこ?』

「あぁ。楽しいぜ!オレは山本武、よろしくな!」

『……』

「リボーンさん!オレは反対です!こんなどこの馬の骨が分からない奴…っ!」

「リボーン!見ず知らずの女の子をボンゴレに勧誘すんなよ!しかも何で雲雀さんの名前が出てくるんだよ!」

「由夜は雲雀の妹だからだぞ」

「いくら妹だからって勧誘は……って、えぇ!?妹ーっ!?」



騒いでた三人は揃って私を見る。
何だろう、これ。
骸達と一緒にいるよりも疲れるんだけど。



「そ、そう言われれば雰囲気とか似てるかも…」

「つか、あの雲雀に妹……」

「ははっ、確かに似てるなー」

「あぁ、だから強さは保障するぞ。戦力アップだ。」

「だとしても!オレは反対です!」

「リボーンはどうして、この子を入れたいんだよ!?いや、そもそもオレはマフィアになるつもりないけど!!」

「理由か?獄寺、試しに攻撃してみろ」

「え…っ、いいんですか!リボーンさんがそう言うなら……」

『やるならやってもいいけど……、咬み殺してあげる』

「ははっ、口癖、雲雀と一緒なのな」

「山本!見てないで獄寺君を止めなきゃ…!!」

「ツナ、その必要はねぇぞ」

「な、何で!?」



私に向かい攻撃体制になる男子。
ダイナマイトを手にして、こちらに向かってくる。

恭兄の学校で問題は極力、起こしたくないけど、この場合は仕方がない。
気絶させるくらいにしようと素早く銀髪の男子の後ろへと回り込む。

そのまま攻撃をしようとしたけれど、ここにいるはずのない人物の声が聞こえピタリと攻撃を止めた。



『……ワーォ』

「クフフ、僕の由夜に何をしているんです?」

「ねぇ、君達、僕の由夜に何をしているんだい」



何で、骸が?
しかも恭兄まで、いつの間に来たのよ!?

二人を見たら私は戦う気が失せてトンファーを下ろした。



「ひぃぃ!雲雀さん!?しかも骸まで出たーっ!!」

「ほらな、由夜がいれば、もれなく雲雀も骸も参戦で戦力大幅アップだ。」

「リボーン!戦力アップの前にオレ達がやられるよ!!」

「名づけて芋づる式大作戦」

「名づけるなーッ!!つか、そのまんまだろ!」

「うるせぇぞ」

「いて…っ」

『恭兄…、というか骸までどうしてここに…』

「由夜がいる所に僕あり、ですよ。今更そんな野暮な事を聞かないでください。」

『後をつけて来たって訳ね』

「クフフ…」

「ワォ、今日はついてるね。草食動物を咬み殺せるだけじゃなく不法侵入者まで咬み殺せるなんて」

「不法侵入者?誰の事でしょうね、由夜。」

『骸の事に決まってるでしょ。それより恭兄、もう全員、咬み殺しちゃってよ、はい、トンファー。』

「もちろん、そのつもりだよ、由夜…。あぁ、君のトンファーも返しておくよ」

『ありがと。』

「…さぁ、覚悟は出来ているかい」

「ひぃぃーっ!!」



恭兄が一睨みすると一瞬で張り詰めた空気に変わる。
すっかり忘れていたけれど未だに私の胸に抱きついている子供も殺気を感じ取ったみたいで固まっている。



「由夜、その牛はなんですか」

『さっき少しね…』

「子供だからといって許せませんね、由夜の胸に顔を埋め、擦りよるなど」

『抱きついているだけでしょ、変な言い方しないで』

「では、僕も抱きついていいですか」

『いい訳ないでしょ、子供じゃなかったら殴ってるわよ』



私がトンファーを見せると骸はコホンと咳払いをして誤魔化す。
そして子供の頭を鷲づかむと、きつく睨んで脅した。



「離れなさい。」

「う、うるさいもんね!変な頭!!」

「な…っ」

『……ふっ』

「由夜、笑ってないで引き剥がしなさい」

『これくらい、いいわよ、別に。』

「よくないですよ…!ほら、さっさと離れなさい…!」

「ぐぴゃ!いやだって言ってんだろー!ハゲッ」

『ふ……っ』

「僕のどこがハゲですか…!!」

「デコ、広いんだもんねっ、べーっ」

『あ……』

「んな……っ」



骸に向かって舌を出すと、子供はさらに強く私の胸に抱きついた。



「何て羨ましい……!!」

『ちょっと、そこの変態』

「おっと、つい本音が…!」

「ねぇ、この子供、死にたいみたいだね」

「ぐぴゃっ!?」

『恭兄、子供相手に本気にならないで』



恭兄も会話に入って来て話が余計に進まない。
どうしたものかと息を吐いていると赤ん坊が近づいてきた。

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