昼休み、骸達と教室で昼食を食べる。
ふぅとため息を吐くと骸はどうしたのかと聞いてきた。
訳を話すと異様な空気が流れ、皆の視線は見事に一人に集中。



「……言っておきますが僕ではありませんよ」

『……』

「僕がストーカーなんて真似をすると思いますか」

『骸……』

「……、骸様」

「……はぁ」

「骸さん……」

「な、何ですか、皆して僕が犯人だろう、ばれてるのだからさっさと言ってしまえばいいものをという憐れみの視線は!」

『……冗談。骸だったら分かる。』

「そうですか、僕だったら分かりますか…」

「骸さんだったらクフクハ笑って気持ち悪いやらしー視線らもんなー」

「犬。」

「ぎゃんっ」

「こら、由夜の後ろに隠れるんじゃありません」

「らって一番、安全じゃないれすか」

「いらない知識をつけるんじゃありませんよ、まったく」

『……』

「骸様、もしかして、その由夜の後をつけてる人って…」

「僕に恨みを持つ人間ならいくらでもいる、由夜を人質にという可能性もありますね」

『別に大丈夫、これくらい。』

「ですが暗殺者という可能性も」

『大丈夫よ。今更、気にしないでいい、それに…』

「それに、どうしましたか」

『並盛、黒曜周辺なら骸より恭兄の方が敵が多いでしょ』

「あぁ、そう言われれば…」

『小学生の時はよく絡まれてたのよ、恭兄の妹って事でね』

「由夜が小学生…!!」

『そこは別に重要じゃないわよ、拾わないでいいから聞き流して。』

「とても重要ですよ!あ…、別にロリコンという訳ではありませんよ、ですが由夜の幼い頃だなんて考えただけで…!!クフフ…!!」

「それで、大丈夫だったの、由夜…」

『平気。恭兄が片っ端から潰していったし私も咬み殺してたから』

「そう……よかった…」

「……」

「………」

「最近、由夜とクロームに華麗にスルーされているような……気のせい、ですかね?」

「……めんどい」

「な…っ千種まで…!」

『……』



骸や恭兄に恨みを持つ人間ではないと思う。
確かに昔はよく絡まれていたけれど恭兄に圧倒的な力の差を見せ付けられた相手は近寄らなくなったから。

骸は恭兄と同等、もしくはそれ以上に強いかもしれない。
そんな相手の近くにいる人間を人質にして骸を倒そうなんて考え、甘すぎる。

本当に力がある奴なら力の差が分かる。
それすらも分からないなら、大した奴じゃない。



「本当に大丈夫ですかね」

『殺意とかは感じないから』

「でしたら、単純に考えてストーカーというものですかね、許せませんね、まったく。」

『……』

「……(骸さんが言える事じゃないんじゃ…)」

「………(由夜の目の前にストーカーがいるけど)」

「犬、千種、何か言いたそうですが何か?」

「いえ…」

「何でもないれーす」

「ならばいいんですが、…そうだ、由夜。」

『なに?』

「僕が今日、家まで送ります。その犯人を捕まえるためー……」

「由夜、今日、私が一緒に帰っても、いい…?」

『え…?』

「…だめ?」

『だめ…じゃないけど遠回りになるじゃない』

「…いいの。心配、だから」

「…やはりスルーされますね、僕のクロームは反抗期ですか…!!」



こうして今日はクロームと一緒に帰ることになった。
帰りにスーパーに寄りたいから少し遠回り。

二人でいると変な気配はあまり感じないけれど、代わりに気持ち悪い視線を感じる。



『……これは』

「…骸様、後ろにいる」

『ストーカーじゃないと言った日にストーキングするとはね』

「一応、隠れてる…けど、どうする…?」

『どうするもこうするも……』



後ろを見ると気配がスッと雑踏に紛れて、どこにいるか分からない。
気配を消すなら完璧に消して欲しい。

でも、一応は心配してくれているんだろうし、これで骸が納得するのであれば我慢しよう。



「骸様…」

『どうしたの?』

「ストーカーする事に目覚めちゃったらどうしよう…」

『……』



骸、クロームが本気で心配してるから今後はストーカー紛いな事をしないでよ。
後をこそこそつけるくらいなら、いつもみたいに堂々と隣を歩いてくれた方が全然マシだから。

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