うきうきしながら手紙を開封する奈都姉。
今、バジル君って言ったよな?バジル君って「あの」バジル君だよな!?

な、なんで奈都姉がバジル君を知ってるんだ…!?



「…ね、ねぇ、どういう仲?」

『まさか、ツッ君、やきもち?』

「なっ!?そっ、そんな訳ないだろ!?」

『ははっ、慌てちゃって!可愛いなぁ、ツッ君は!』

「…〜…!!やきもちでも何でもいいから!バジル君とはどういう関係なんだよっ」

『一緒に川へ洗濯しに行く仲』

「どんな仲だよっ!!つか!さっきから、はぐらかしてない!?」

『ないない。同じ学校のクラスメイトだったの。』

「奈都姉、ちゃんと学校に行ってたの!?」

『当たり前でしょ!!』

「いてっ」



心底、意外そうな顔をしていたらしいオレに、軽く拳骨をする奈都姉。
だって、あの父さんと暮らしてたんだから意外に思うのは仕方ないだろ…!?

謎なんだよ、うちの父親も奈都姉も!
ついでに母さんも!



「あ……」

『どうしたの、ツナ』

「……」

『ツナ……?』



今更だけど父さんと一緒に暮らしてたんだから、やっぱりマフィアの事を知ってるのかも!?
そう思っていても、まさか「奈都姉もマフィア関係者なの?」なんて質問は出来ない。

あれ?そもそもオレ達、双子なんだから奈都姉も「十代目候補」なんじゃ…?
やっぱり、ここは一度、ちゃんと聞いておいた方がいいのかな…!!



「ね、ねぇ、奈都姉…」

『何?というか、ツナ!』

「は、はい…!?何…っ!?」

『だったら、今まで学校に行かないで何してたって言うのよ、もう!』

「え…?こう……何ていうか…」

『何ていうか?』

「その……山や海で、サバイバル的な生活……みたいな感じ…?捕ったどーみたいな」

『もう一発、拳骨を…っ』

「なーっ!?ごめん、ごめん!それよりも!手紙を送ってきた人って本当にあのバジル君なの?」

『拙者とか言って川で洗濯しちゃって尚且つ演歌が好き、日本大好き!」

「そうそう!……あぁ、本当にあのバジル君なんだ」

『思い出すなぁ……』

「何が?」

『おむすびや納豆にいちいち感動したり…』

「………」

『……お父さんと、ちょっとからかったら本気にしちゃったり』

「へ、へぇ……」

『日本の話を色々としたら"拙者、感動しました!"って目を輝かせちゃってさ」

『……』

「バジル君ってすごく可愛いよね、ツナに似てて!』

「………ねぇ」

『ん…?』

「ほ、本当にちょっとだけなの?からかったのって…」

『え…?』

「……」

『………』



バジル君の事が異様に心配になって聞くと奈都姉とオレの間に異様な雰囲気と沈黙が流れる。
数秒すると奈都姉は眩しすぎる笑顔で一言。



『うん、ちょっとだけ』

「……」



語尾にハートマークがついてるような言い方にオレはぞくっとした。

嘘だー!絶対に何かしただろ!?
もしかして父さんと一緒に日本の事を色々と教えてたんじゃないの!?
大嘘を吹き込んだんじゃないの!?

そう考えると色んな事が納得がいくもんな…。
オレの代わりに今までからかわれて来たんじゃないか!?

ごめん、バジル君…!!

そして心から言うよ、ありがとう…!!



「……バジル君があんな風になったのは父さんと奈都姉のせいなんだ、納得」

『何か言った、ツナ』

「な、何でもないよ…」

『そういえばね、あっちでもツナの事をバジル君に話したんだよ』

「へぇ、そうだったんだ」

『おねしょで泣いちゃったり、どこか遊びに行ったら迷子になったとか、三輪車も上手く乗れなかったとか』

「そんな事は話さなくていいだろー!?」

『あとはねー…』

「スルーしないで、奈都姉!!」

『いいじゃない、もう話しちゃったんだもん』

「う……」

『私さ、日本に戻って来た時、本当にびっくりしたんだよ』

「え…?」

『ちょっと見ない間にツナ、しっかりして来たじゃない』

「奈都姉…」

『京子ちゃんにパンツ一丁で告白したのはどうかと思うけどね』

「んなっ!?何でそれをーっ!!」

『情報元、某Rさん』

「リボーン!!どこにいるんだよ!お前、奈都姉に変な事を!」

『リボーン君なら今、出かけてるみたいだよ』

「あぁ、もう!ねぇ、奈都姉!それは誤解だから!あの時はリボーンに…っ」

『はいはい、今度、笹川京子ちゃんにじっくり聞いてみるからいいよ、友達になりたいなぁ』

「やめてくれー!!」

『それじゃ、私、部屋に行くからね!』

「あぁ、奈都姉ーっ!!」



もっと色々と聞きたかったのに!
それにリボーンは奈都姉にオレのどんな事を話してるんだよ、もう!

今の所、同じクラスだけど奈都姉は京子ちゃんと特に面識がないみたいだから変な事を聞かれる事はないだろうけど……。
これから仲良くなったら色んな意味でまずいような…?



「でも、学校では、ほぼ雲雀さんと一緒にいるから大丈夫かな、それはそれで嫌だけど」

「何、一人でぶつぶつ言ってんだ、アホツナ」

「……っ!リ、リボーン、お前、いつ帰って…っ」

「今、帰って来たんだぞ。それにしても…」

「な、何だよ…」

「奈都にマフィアの事を聞きそびれたな」

「……あ」

「上手く話を逸らされたんじゃねぇか?」

「………」



にやりと笑うリボーンは明らかに何かを企んでいる。
けれど、そう言われてしまえば奈都姉もマフィアに関係してるんじゃないかと思えてきた。

だって、逸らされたといえば上手く話を逸らされたんじゃないかと思うから。

なぁ、リボーンは全部、知ってるんだろ?
だったら教えてくれたっていいじゃん…っ!!



「自分で調べればいいだろ」

「読心術やめろって!」

「まぁ、一つ教えてやる」

「えっ?な、何を?」

「奈都は家光によく似てるから中々食えねぇ奴だ」

「それはまぁ、うん。よく分かる……という事はやっぱり奈都姉もマフィア!?」

「そこは自分で調べやがれ」

「………っ」



奈都姉に話を逸らされたのかは置いておいて。
リボーンに上手く操作されてるような感じがするのは気のせいか?

納得が出来ないものの気になるものは気になってしまい、結局の所、オレは奈都姉を調べる事に決めた。

この間だってぼろぼろで帰宅して雲雀さんと帰ってきたし、色々と心配だもんな!!



「……よし」

「ふ……」

「……」



隣でしてやったり、という笑顔をしているリボーンは見ないことにしよう。



end



2011/4/27

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