休日、午後の暖かい昼下がり。
オレはランボと格闘ゲームをしていた。
ベッドではオレとランボの対戦を奈都姉とフゥ太が観戦中。
そのせいか集中、出来なくてさっきから負けっぱなしだ。



「奈都姉、ツナ兄とランボ、今度はどっちが勝つかな?」

『ランボ君じゃない?ツナ、さっきから負けっぱなしだし』

「ふふーん、ランボさんは強いんだもんねー!」

「な……っ」

「ツナになんて負けないもんねっ」

「ツナ兄、頑張ってー!奈都姉も応援しよっ」

『うん!ツナ!一回くらい勝たないと面白くないでしょ!』

「ちょ、うるさいな!わざとだから、わざと!」

『はいはい、分かってるから頑張ってね!ツッ君!』

「ちょ、本当だってばー!!」



オレが集中、出来ない理由。
それはフゥ太が原因。

さっきから奈都姉、奈都姉、言い過ぎなんだよ、まったく!!
甘え上手だからか奈都姉も奈都姉で可愛がっちゃって、オレとしてはすごく面白くない。

そりゃ、フゥ太が嫌いな訳じゃないけどさ!
フゥ太の甘えっぷりといったらもう……!!

ランボとやってるゲームで何度も負けてる事もあって苛々は募るばかりだ。



「…ー…っ」

『あれ、フゥ太君、眠そうだね』

「ちょっと、だけ……」

『ここ、日が当たって暖かいもんね、お昼寝してもいいよ』

「ん〜…」

『ね?』

「奈都姉〜…」

「……あぁ、また負けたぁ!!」

「ガハハッ!ランボさんの勝ちだもんねー!!」

『ツナ、ランボ君、少し静かにして?』

「えっ、何で?って、フゥ太!何で奈都姉に膝枕してもらってるのーっ!?」

『だから、静かにしてって言ってるの』

「ランボさん、そろそろおやつだもんねー!」

『あっ!もう三時なんだ!そういえば、テーブルにドーナツあったよ』

「……!ランボさんのだもんねっ」

『イーピンちゃんと仲良く食べてね、ランボ君!』

「あ、ちょ、ランボー!!」



ゲームなんてそっちのけ。
コントローラーをぽいっと投げてドーナツで頭がいっぱいになったランボはオレの部屋を出て行った。

ポツンと残されたオレは横目でフゥ太を見ると奈都姉は笑って人差し指を口元に当てている。
フゥ太を起こしちゃうから静かにしてろって事だろうな。

奈都姉とフゥ太が本当の姉弟みたいでため息が出てしまう。



『ツナもおやつ食べて来たら?』

「奈都姉は…?」

『フゥ太君、起こしちゃ可哀相だから、もう少し』

「……」

『気持ち良さそうに寝てるね』

「うん…」



二人きりにさせるのが嫌でゆっくりとベッドに上がり隣に座った。
しばらくフゥ太を起こさないように小さな声で話していると奈都姉の顔がぴくりと引きつった。



「どうしたんだよ、奈都姉」

『ツ、ツナ…』

「だから、どうしたんだって」

『あ、足が…っ』

「足?」

『う、うん…!足が痺れてきた……!!』

「えぇ!?っていうか、まぁ、そりゃあ、ずっと同じ体制だからな…」

『ツッ君…!!』

「ちょっ、奈都姉…!!重…っ!!」

『重いっ!?ちょっ、聞き捨てならない、そのセリフ!』

「静かにしないとフゥ太が起きるって!!」

『う……っ』



足が痺れたからオレに寄りかかって来た奈都姉。
反射的に口にしてしまった「重い」の言葉を聞き逃さなかったけれど煩くすればフゥ太が起きてしまう事もあって言葉を飲み込んだ。



「奈都姉でも気にするんだね」

『失礼だよ、ツッ君』

「別に気にしなくていいと思うよ、好きなもの我慢しないで食べればいいのに」

『雲雀先輩も同じような事、言われたよ…』

「えっ!?雲雀さんにも!?」

『うん。大体ね、雲雀先輩もツナも細すぎなんだって!!あと、獄寺君も!!羨ましい…!!』

「んな事、言われてもなぁ……、というか奈都姉」

『何ー?』

「話しつつ、さりげなく体重かけてるだろ」

『あははっ、ばれた?』

「ばれた?じゃないよ、まったく…!というか近いから!!」

『いいじゃん、たまには姉弟でまったりしても!』

「まったりって、もしかして眠い?」

『当たり。ツナの部屋、暖かいんだもん。』



オレに寄りかかって、あくびをする奈都姉。
そんな奈都姉のあくびが移ったようでオレもあくびを一つ。

窓から入る日に当たっていると気持ちが良くて眠たくなってきた。
お返しと言わんばかりにオレも奈都姉に寄りかかる。

そのまま目を瞑って数分、あっという間にオレはふわふわした意識。
ドアが開いた音が遠くでしたけれど目が開けられなくて誰かは分からない。



「あら?ふふ、仲良しさんね…」

『……』

「………」

「ん…、ママン〜?」

「しー…」

「……?あ…っ、ツナ兄、奈都姉、眠ってる…」

「おやつの時間だから呼びに来たのよ、食べるでしょう?」

「うん!でも、ツナ兄達はどうしよう…」

「気持ちいいでしょうし、このままにしておきましょう、ふふ、幸せそうな寝顔」

「本当だね、ママン!」

「おやすみなさい、ツッ君、ナッちゃん」



優しい手で撫でられ隣にいる温もり安心してオレはスッと夢の中へ。

今日はランボに負けるしフゥ太と奈都姉に妬いてしまった。
こんな一日だったけれどオレにとっては大切な一日。

幸せな日常がこれからも続きますように。



end



2010/02/02
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