朝六時、並盛中校門前。
昨日は早く寝たから起きることが出来たけど、こんな朝早くから校門前に立ってなきゃいけないなんて…!!
しかも風紀委員の人たちと!

私、浮いてない?浮いてるよね?真っ黒リーゼントな先輩達の中の紅一点だよ!?

しかも校門前に来たらリーゼントの先輩方が皆して「おはようございます!奈都姐さん!!」って頭下げられて居心地が悪いったらない!

雰囲気に気圧され一人で慌ててると学ランをなびかせて雲雀先輩が姿を現した。



「やぁ。ちゃんと来たみたいだね」

『あっ、雲雀先輩!おはようございます!』

「あぁ。おはよう。」

「おはようございます!委員長!」

「草壁、準備は出来ているかい」

「もちろんです」



雲雀先輩はトンファーを出して門の前へと立つ。
草壁さんは雲雀先輩のすぐ後ろに立ち、没収するものを入れる袋を持っていた。
その他の風紀委員の皆は私達の後ろにビシッと立つ。

私は何故か雲雀先輩の隣。
あれ…?私が委員長の隣にいるのっておかしくない!?

新入りだし委員長の隣にいる事が気が引けて、私はそっと一歩を下がる。



「奈都」

『…っな、何ですか!?』

「サボりは許さないよ」

『サボる訳じゃないですよ!ただちょっと草壁さんの隣がいいかな、と!』

「何?僕の隣にいるのが嫌な訳」

『そういう意味じゃなくてですね…っ!!』

「君には服装と持ち物のチェックをしてもらうんだから」

『は、はい』

「……、僕の隣にいてよ」

『あ……』

「………」



そう言って、ぷいっと前を向いてしまった雲雀先輩。
その様子を見て草壁さんは私の背中をポンッと押して雲雀先輩の隣に強制的に戻した。

やっぱり、私、雲雀先輩の隣にいなきゃだめなんですか!?
雲雀先輩の隣が嫌なんじゃないですけど勘弁してください…!!

まるで風紀委員を引き連れているような、この立ち位置、すごく落ち着かないんです…!!



『草壁さん…!私、おかしくないですか!?普通、雲雀先輩の隣は草壁さんじゃ…っ』

「委員長のお隣は奈都姐さんという事で皆の意見が一致していますので」

『み、皆の意見?』

「はい」

『み、皆…』



皆と聞いて後ろのリーゼント軍団を見ると揃って、こくりと頷いた。
もしかして、私が知らないうちに下っ端新入り風紀委員から随分と格上げされてる!?

皆の意見が一致していても、どうにも落ち着かなくてソワソワしていると本日一番目の生徒が現れた。
ちなみに、ただ今の時刻は六時三十分。
こんな朝早くに登校するなんて部活の朝練でもあるのかな?



「ん…?あれ、奈都じゃねぇか!はよっ!」

『あっ、山本君だ!おはよう!早いね!』

「部活の朝練があってな!奈都は風紀委員の仕事か?」

『そう!服装と簡単な持ち物検査、遅刻のチェックしてるんだ!』

「……奈都」

『は、はい!それじゃ山本君、まずは鞄の中を見せてくれる?』

「おぅ、いいぜ」

『えっと、……はい、OK!校則違反のものはなし、と』

「山本武。ネクタイはどうしたんだい」

「ネクタイ、結ぶの苦手なんだよなー、一応は持ってきてるんだぜ」



ほら、な?とネクタイを見せる山本君。
あるなら、さっさとネクタイをしてと睨む雲雀先輩。
このままじゃトンファーで殴りかかるかもしれない。

私は慌てて山本君と雲雀先輩の間に入った。



『山本君、ネクタイ貸して!』

「奈都?」

『えっと、こうやって…』

「…サンキュな!結んでくれて」

「……っ」

「服装検査もいいもんだな、あ…、でも、ユニフォームに着替えちまうけど」

『あっ、そういえばそうだったね』

「また教室で結んでくれるか?」

『うん、いいよ!』

「やりっ」



これで制服に関しても文句なし!
頑張ってねー!と手を振ると、山本君は部室へと急いで行った。

その後はサッカー部や野球部、陸上部員が続く。
登校する人が増えてきたから風紀委員総出でチェックした。

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