「こんな所で何を買うんだよ」

『もちろん、決まってるでしょ!どっちが低カロリーなんだろう…』

「鳥の餌?…って、まさか…っ!!」

『そう!ヒバードのご飯だよ!』

「………飼育委員だもんな」

『風紀委員!』

「だって、風紀の仕事してる所を見た事ないんだけど」

『う……』

「と、というかさ」

『ん?なに?』

「もしも雲雀さんに酷い事されたらすぐに言ってよ」

『大丈夫だよ!雲雀先輩は別に乱暴なんてしなー…いや、暴力は日常茶飯事だけど』

「ほ、ほら!心配なんだって!雲雀さんに何かされなくても巻き込まれたりさ…っ」

『平気、平気!あっ、ツナ!あの犬、可愛い!』

「ま、待ってよ…!聞いてよ!」

『……あれ?』

「どうしたの?」

『あー…、えっと、ごめん、ツナ!これ、会計しておいてくれないかな?』

「いいけど、何で?」

『いいから、いいから!この後はお茶しよう!』

「うん、じゃあ、買ってくる、けど…」

『ありがと!』



にこっと笑う女の子に心配そうなツナさん。

あぁ、ツナさんのそんな表情、見たことありません…!!
分かります。ハルには分かりますよ!

両想いといえどツナさんは「雲雀先輩」という人にジェラシーを燃やしているのですね…!!
そんなツナさんを見てガクリと沈んでいると涙で目の前がぼやけてきました…!!
だってハルはツナさんの事が大好きですから…!!

あぁ、ハルはツナさんの幸せを願って、このまま静かに引き下がる方がいいのでしょうか…!



「うぅ……」

『…ー…ですか?』

「はい……!?」

『大丈夫ですか?…気分、悪いの?』

「え…っ、はひーっ!?」

『……?(はひ?)』



声がした方を向けば、そこにはツナさんの運命のお方。
床に座り込んで、涙で頬を濡らしていたハルにハンカチを差し出してくれました。

この方は見知らぬハルの心配をしてくださっているのですか?
あぁ、何ていい方なんでしょう…!

ハルはデンジャラスなジェラシーをこんなにもバーニングしているというのに…!!



「……ッ」

『えっと、大丈夫…?』



あぁ、完敗です…!!
誰がどこからどう見てもハルは恋に破れた女です…!!
ハルは運命のお二人の仲を引き裂くような事は出来ません……!!



「うぅ……!ツナさぁぁぁん!!」

『えっ?ツナのお友達?』

「そうです、お友達なんです…!!ハルはただのフレンドなんですよーっ!!」

『えっと、あのー…?わ、私は沢田奈都です』

「はひっ!?もう籍を入れているんですかぁぁ!?」

『籍…!?えっ、なに?何のこと!?』

「買って来たよ、何か騒がしいー…って、ハル!?」

「ツナさぁぁん……」

「な、何でハルがここに!?」

『ハルちゃんっていうんだ、さっきからこんな感じなんだよ、もう籍を入れてるんですかとか何とか…』

「いつもの事と言えばいつもの事なんだけど……籍ってどういうこと?」

『さぁ?どうしようか…?』

「うーん…、お、おい、ハル!座り込んでどうしたんだよ、大丈夫か?」



ハルと同じ視線になって心配をしてくれるツナさん。
そんな些細な事にハルのハートはドキドキとしてしまいます。

ですが、だめなんです!
ドキッとしてはいけないんです、マイハート!



「優しくしないでください、ツナさん…!!」

「な、何!?どうしたんだよ、ハル」

「ツナさんに優しくされるともう辛いんです…!ハルは、ハルは…!!」

『ツナ、ハルちゃんに何をしたの……』

「何もしてないよ!」

『だって、ただ事じゃない雰囲気だよ、いつの間に女の子をたぶらかす悪い子になっちゃったのよ、ツッ君!』

「か、からかわないでよ、奈都姉!」

「はひっ!?」

「……!こ、今度は一体、どうしたんだよ」

「奈都姉…?って一体、なんなんですか…?」

「えっ、だからオレの姉の…」

『沢田奈都です!私達、双子なんだ!』

「は、はひーっ!?ツナさんのお姉さんですか?それもツインズですかっ!?」

「う、うん。言ってなかったっけ?」

「き、聞いてませんよ!ツナさんにお姉様がいらっしゃったなんて!」



詳しく話を聞くまでもありません。
沢田奈都という女の子はツナさんの「双子のお姉さん」という事が判明しました。

リボーンちゃん、それならそうと早く言ってください…っ!!
ハルは今までの騒ぎが一気に恥かしくなり頭を上げられません!



「お騒がせしてしまい申し訳ありません……!!」

『だ、大丈夫だよ、ねっ、ツナ!』

「う、うん」

「あぁ、ハルは未来のお姉様に何てことを…!!」

「ちょっ、ハル!未来のお姉様って、どういう事だよ!」

「えっ?だってハルの将来の旦那様はー…はひっ、恥ずかしいですーっ!!」

『……なんか獄寺君みたいな子だね』

「何で?」

『十代目の右腕になるって言ってお姉様とか呼ぶし、ハルちゃんはハルちゃんで未来の旦那様のお姉様って呼ぶし』

「はは……」

『モテモテだねぇ、ツッ君』

「なっ、べ、別にそんなんじゃ…っ」

「えっと、とにかく本当にすみませんでした…!!お詫びに何か…っ」

『えっ?いいよ、いいよ!気にしないで!(この勢いだったら獄寺君のように土下座しちゃいそうだ、この子!)』

「ですが!何でも言ってください!」

『え…、えっと、それじゃ…お茶しようと思うんだけど、どこかいい所を教えてくれない、かな?』

「それでしたら…!」



こうしてツナさんとナツさんをハルおススメのケーキ屋さんへと案内しました。
するとお店の前には、まるで待ち合わせをしていたかのようにリボーンちゃんがハル達を待っていました。



「ちゃおっす、奈都」

『あれ、リボーン君、こんな所でどうしたの?』

「ここのモンブランが食べたくてな」

「リボーンちゃん!?何で教えてくれなかったんですかっ!ツナさんのお姉さんだって!」

「リボーン、もしかしなくても、お前のせいか…」

「何、言ってんだ。オレのせいじゃねぇ。オレは昨日、ちゃんと言ったぞ。ハルは聞いちゃいなかったがな。」

「そ、そんな…っ!」

『まーまー、いいじゃない!リボーン君も一緒にケーキ食べよう!ハルちゃんも一緒にお茶しようよっ!』

「で、でも!悪いですよ!」

『いいから、いいから!あっ、もしかして予定があるとか?』

「あっ、いえ、予定はありませんが……、本当にハルもご一緒してよろしいんですか?」

『もちろん!』

「……!」



せっかく姉弟水入らずというのにハルまでご一緒にお茶をさせて頂きました。

ツナさんの双子のお姉さん、ナツさんはとても明るく素敵な方。
今度の第三日曜日、また一緒に遊ぶ約束もして、ハルはとってもハピネスですっ!



end



2009/09/11

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