……また始まった。 学校生活にも慣れてきた最近はツナと獄寺君、山本君と一緒にいる事が多いんだけど、時々ケンカが始まっちゃう。 双子の弟、ツナに限っては、そんなにお姉ちゃんと一緒にいたいのね!可愛いなぁ!って思うけど、どうして獄寺君と山本君まで? 山本君はもちろん、獄寺君も何だかんだすごく優しいから強く言えない。 でも、今は本当に困る。 ゴミを捨てに行かないと帰れないんだよ、三人とも!! 『……』 …まぁ、いいか。 ゴミ捨て場なら場所も分かるし、ゴミ袋二つくらい、たいした重さじゃない。 一人で行っちゃおう! 「オレが一緒に行くんだ」とお互いに譲らないツナ達に気づかれないように、そっと教室を出る。 最初こそ迷った事もあったけど今ではもう、迷う事無く校内を出歩ける。 階段を降りて外へ。 足取り軽くゴミ捨て場に向かっていると突如、男子の悲鳴が聞こえた。 『……!?』 何事!? 今、日常生活で聞かない悲鳴や音が聞こえたんだけど!? ゴミ捨て場から聞こえたみたい。 そっと校舎の影に隠れてゴミ捨て場を覗く。 そこで見たものは何人もの男子生徒が血だらけで倒れている光景。 唯一、立っているのは加害者であろう学ランを羽織っている男の子だった。 「ワォ、もう、おしまいかい?」 『……(ワォ!?)』 学ランを羽織った男の子は血だらけの男子生徒を掴むとゴミ捨て場へと投げる。 私の目がおかしくなったのかな…? ゴミ捨て場はゴミを捨てる場所であって人を投げ捨てる場所ではないと思うんですが! あの男の子はうちの生徒じゃないよね? うちはブレザー、学ランじゃない。 恐ろしくて考えたくないけど、並中生にお礼参りをしてるのかな!? 『……』 信じられない光景に目をゴシゴシを擦って、もう一度、見る。 うん、状況は何一つ変わっていない。 むしろゴミ捨て場に投げ捨てられた人物が増えてる!! 『……(どうしよう…)』 とりあえず見つからないように、この場を離れよう。 そう思って一歩下がったら運悪く小枝を踏んでしまい音を立ててしまった。 小さな小さな音。 だけど男の子の耳に届いてしまったようで気づかれてしまった。 何で、聞こえるのよ、今の音が…!! 「そこにいるのは誰だい?」 『……!』 「隠れてないで出て来なよ」 『は、はい…』 「君も咬み殺されたいのかい」 『………は?』 「……」 『えっと、私は普通にゴミを捨てに来たんです、けど』 「………」 鋭い瞳で睨まれて汗がダラダラと出てくる。 質問に恐る恐る答えると男の子は「ふぅん」と言いながらゴミ袋をマジマジと見つめる。 「さっさとゴミを捨てなよ。」 『は、はい…』 「……」 捨てたいのは山々だったのに!! なんて、こんなヤバそうな人に文句は言えない。 私は急いでゴミを捨てる。 何やら視線が気になるので、近くに畳まれてあった網を被せた。 あぁ、ゴミと一括りにしてごめんなさい!とゴミ捨て場に投げ捨てられた人達に心の中で土下座しながら。 本当だったら倒れてる人達をゴミ捨て場から救出したい所だけど後ろの視線が痛すぎるんだもん…!! 「ふぅん、真面目だね。」 『いえ、これくらいは…。では、失礼しました…』 「……」 あぁ、何だかゴミ捨てだけなのに、すごく緊張しちゃった。 無意識に敬語を使っちゃったし。 この先の人生、ゴミ捨てにこんなに緊張する事なんてない!! さっさとツナ達の所に戻ろう。 「……ねぇ、君、待ちなよ」 『え……!?』 「名前は?」 『な、名前……ですか?』 「早く質問に答えなよ」 『ただの並中生です、失礼しまー…』 「咬み殺すよ」 『沢田奈都です、すみません、ごめんなさい!!』 ひぃぃー!怖い怖い怖い!! トンファー?トンファーだっけ?この人が持ってる武器…!! 映画で見たことある気がする…!! 「ふぅん。沢田奈都だね。覚えておくよ」 『は、はぁ…』 覚えておくよって、私、目をつけられるような事した!? この人、一体、何なのーっ!! 改めて見ても、校内で見た事ないし、やっぱり他校だよね? ここら辺に学ランの学校なんてあったっけ!? |