『あれ?ツナってばまだ顔、洗ってきてないの?』 「……もう洗ってきた」 『そうなんだ!それじゃ、ご飯を食べよう!』 「オレ、朝ご飯いいや」 『えっ?せっかく母さんが作ってくれたんだから食べていこうよ』 「ガハハ、ツナが食べないならランボさんが全部、食べちゃうもんねっ!奈都も早く一緒に食べるんだもんね!」 「奈都、食わないならツナは放っておけ」 「そうよ、後でお腹が空いて泣いても知らないんだから。ねぇ、リボーン」 「奈都姉ぇ、冷めちゃうよ〜」 「……」 あぁ、もう!だから、何なんだよ、皆して奈都だの奈都姉ぇだの! ムカムカする、イライラする! 「奈都姉ぇ〜っ!早く〜!」 『はいはい、待っててね!フゥ太君!』 「……っ!!」 みんなが奈都姉に懐いているのを見て苛々は募るばかり。 フゥ太やランボが奈都姉にぎゅっと抱きついた時、オレは頭が真っ白になった。 「…ー…っ」 『ツナ?』 「奈都姉はオレの姉ちゃんだぁぁぁーっ!!」 「え……!?」 『……!?』 「…ー…ッはぁ、はぁ…」 『ツナ、あ、あんた……』 「………え」 あれ?今、オレなんて言った? ランボ達を見てたら、どうしようもなくムカついちゃって頭の中が真っ白になって、耐え切れなくて震える手で拳を作ったら、奈都姉はオレの姉ちゃんだー!って叫んで……って、あれ!? オレ、言葉にしちゃってた!? 「まったく子供だな、ツナは」 「あららのら、ランボさんより子供がいるんだもんねー」 「ツナ、あなた…」 「ツナ兄、奈都姉の事、大好きなんだね!ツナ兄の好きな人ランキングに書いておこうっと!」 「ツッ君は昔からナッちゃんの事、本当に大好きね、ふふっ」 「…ー…ッ!!」 NOォォーッ!! 何、言ってんの、何、言ってんの、オレぇぇー!! 皆の前で何を主張してるんだよ!! 一気に顔に熱が集中して事の発端である奈都姉を見ると、ポンポンと肩を叩かれた。 その顔は明らかに面白がってるよね、奈都姉…っ!! 『ツッ君、大丈夫!私はツッ君のお姉ちゃんだよ。だから、安心しなさい、ね?』 「あの、奈都姉…っ」 『……』 「い、今のは、その…!違くて…っ!!」 『違くないでしょ?そっかそっか、やきもちを妬いてたんだね』 「う……」 『まったく、もう!可愛いんだから、ツッ君!』 「……ッ」 『甘えたいなら言ってくれればいいのに!』 「ちょ、違うって!!今のは…っ」 『ツッ君!お姉ちゃんの胸に飛び込んでおいでー!!』 「……!!」 オレをからかう時は決まって母さんみたく「ツっ君」と呼ぶ奈都姉。 ついでに言うと口調も時々、母さんのようになるから余計に恥ずかしい。 「だから、違うって!!聞いてよ、奈都姉…!!」 『ふふ、ツッ君!ご飯、食べさせてあげようか?』 「い…っいい!いらない!オレ、もう学校に行くから!行ってきますーっ!」 『ちょ、ツナー!』 「…〜…っ!!」 ダメだ、当分、このネタを引きずられて、からかわれる…!! 確かに、やきもちかもしれないけどさ! 何であんな事を叫んじゃったんだろう……!! 恥かしくて、とにかく、この場を離れたいオレ。 だけど、オレの腕を掴んで引き止めたのはやっぱり奈都姉だった。 『朝食、食べなさいってば!』 「い、いいよ!購買で何か買うし!」 『私もまだ食べてないの。ツナを待ってたんだよ?』 「え……」 『だから、ね?一緒に食べようよ』 「奈都姉……」 結局、オレは奈都姉達と朝食を食べた。 その間、もちろん皆にからかわれたけど、奈都姉のお願いを断るなんて出来るはずがない。 ダメツナのあだ名に+シスコンが追加されないように気をつけなきゃと、思った朝だった。 「もう遅ぇだろ」 「だーっ!!オレの心、読むのやめてくれ!リボーン!!」 end 2007/03/13 |