***


「すみませんでしたぁぁぁーっ!!」



周りを見れば机は錯乱、大崩壊の教室。
クラスメイトからはブーイングと非難を浴びる。

一通り文句を言った所で片付けたら呼べよ、と皆、教室を出て行ってしまった。
今、教室にいるのはオレと奈都姉、そして山本と獄寺君、リボーンの五人。



『ツナのシスコン、変態、露出叫!!そんな子に育てた覚えはないよ!』

「育てられた覚えはないけど!?」

「ツナ、よくやったぞ。オレの奈都をよく守った。」

「お前のためにやったんじゃないよ、リボーンッ!!」

『何でリボーン君のせいにすんのよ、ツナ!』

「そうだぞ、アホツナ」

「んなーっ!?」

『もう!教室、こんなにしちゃって…』

「ご、ごめん…」

「大丈夫っスよ、十代目!謝らないでください」

「獄寺君……」

「奈都さんの事、本当に大切なんスね」

「う、うん……」

「昨日の奈都さんといい自分、感動しました…!!十代目と奈都さんの姉弟愛!!」

「だな!姉弟、仲良くて羨ましいぜ!」

「え……」

「一筋縄じゃいかないのなー。」

「え…?えぇ…?山本、今…」

「何でもねぇ、気にすんな、ツナ!片付け、始めようぜ!」

「オレももちろん手伝いますよ、十代目」

『私も!』

「う、うん、あ、ありがと……」



……って、あれ?
獄寺君も山本もナチュラルに姉弟を協調してなかった?

しかも、山本!!一筋縄じゃいかないのなーってどういう事!?
小声だったけど、ちゃんと聞こえたよ?
一瞬、投球するような超真面目な顔だったんですけど…?



「二人とも……」

「んっ?どうしたんだ、ツナ」

「あ、十代目は座ってていいっスよ!」

「あっ、いや!オレが原因なんだし片付けるよ!!」

「そうですか?あっ、奈都さんも無理しないでください、重いでしょう?」

『大丈夫!これでも力はある方だからね!というか、獄寺君』

「何ですか?」

『本当に敬語じゃなくていいからね?』

「奈都さんの頼みでもそれは従えません!」

『何で!?』

「ほら、喋ってないで片付けようぜ!」

『あ……』



山本は奈都姉が持っていた机を軽々持って片付ける。
そして手の空いた奈都姉に掃除道具を持たせニカッと笑った。



『山本君?』

「重いもんはオレがやるから掃除、頼むな」

『あ…、ありがとう、山本君!』

「いいって、いいって!掃除より力仕事の方が向いてるからな、オレ」

『…それじゃ、私は掃除を頑張っちゃおっと!』

「……」



今の山本って下心があるんだろうなぁって思うのはオレだけ!?

あんなナチュラルに重いものを持たせないようにさせるなんて今までのオレだったら気付かず"山本って優しいんだなぁ"で一人関心してるだけだったけどさ、奈都姉が関わってるからか妙に直感が働く。

観察するように見ていたら獄寺君が面白くなさそうに山本に声をかけた。



「オレがやる、じゃなくてオレ達がやる、だろうが!」

「ははっ、獄寺はさっきから話してばっかりだから、つい、な!」

『ご、ごめんね、山本君』

「気にすんな!掃除の方、頼むな」

『うん、任せてよ!』

「奈都さん、こっちが終わったら掃除を手伝いますんで!」

『う、うん…、獄寺君もありがとう!』

「……!頑張ります!」

「………」



見ていて分かる。
あぁ、やっぱり二人とも奈都姉の事が…!?

山本は昨日、奈都姉が獄寺君に真っ直ぐに自分の気持ちをはっきりと告げた時、ぼーっとして見てたもんな…!!
オレも魅入っちゃってたけどさ…!!

獄寺君はオレの姉だから色々と世話を焼いているだけ、って感じがしなくもないけど何だか怪しい。



「……」



だとしたら、絶対に渡さない。
いつか誰かのものになるのかも知れない。
だけど、今はまだ、オレの一番、傍に居て欲しいんだ。



「……!!」



って、オレってば今、何を思ってんの!?
オレと奈都姉は姉弟なのに!

変な気持ちを振り払うかのように首をぶんぶん横に振ると奈都姉に軽く小突かれた。



『こら、ツナ!さっさと掃除しなさい!』

「…ー…っ!!」

『何、変な顔してるの?』

「あっ、いやー…その……」

『あ、分かった!構ってもらえなくて寂しかったとか?』

「な…っ!」

『図星だ、図星!そんな心配しなくても私はツッ君のお姉ちゃんですよー?』

「か、からかうなって!」

『可愛いなぁ、ツッ君は!』

「だから、からかわないで…!」

『ふふ、からかってないよ』

「からかってるだろー!!」

『さぁ、掃除しちゃわないと!』

「ちょ、奈都姉ってば!!」



さっきまでケンカしていたのが嘘みたいに機嫌がいい奈都姉。
そんな奈都姉を見ていたら、自然にオレの心も落ち着いていった。



「……」



ちょっとしたトラブルが起きたけど、今日もまた一日が無事に終わるはずだったのに、この日、二つの噂が流れた。

一つ目はダメツナに双子の姉がいた。
そして二つ目は、ダメツナは重度のシスコンだった、と。



「本当、ダメダメだな、ツナ」

「リボーン!この噂、どうするんだよぉーっ!!」

「知らねぇ。」

「知らないじゃないだろ!元はといえばリボーンのせいなんだぞ!」

『でも、嬉しかったよ、ツナが奈都はオレのだぁぁぁー!!って本当に言ってくれて…』

「えぇ!?」

『……なーんてね!』

「えっ、ちょっ!?奈都姉ー!?」



end



2007/04/30

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