「十代目、奈都さんと何かあったんっスか?」

「あ、はは…っ、えーっと、別に何も?」

「ですが…」

「それより!獄寺君は何で奈都姉と…?」

「あ…、十代目をお迎えに行ったら既に家を出たって言われたんですよ」

「ごめん、今日はちょっと早く出ちゃって…」

「気にしないでください!で、急いで学校へ向かってたら丁度、前に奈都さんがいらっしゃったんスよ。だから、一緒に…」

「……獄寺、それって抜けがけって言わね?」

「あ゛ぁ?」

「え…、山本、今なんて…?」

「ん?あぁ、別に何でもねぇよ」

「……」



だよなー!
山本が奈都姉に興味ある訳ないよな!
モテモテの山本なら女の子の方から寄ってくるだろうし、わざわざ奈都姉を選ぶなんてない!

うん、今のは聞き間違いだ!



「お前の席はオレの隣だぜ、よろしくな、奈都!」

『うん、よろしく!……えっと、どこ?』

「あっ、わりぃ、こっちだぜ」

『ありがとー!』

「……」

「教科書、揃ってるか?」

『まだ!今週中には揃うよ』

「だったら、それまでオレのを一緒に使おうぜ」

『いいの?』

「おぅ!困ってる時はお互い様だろ!」

『ありがとう!山本君!』

「机、くっつけるぜ!」

『うん!』

「………」



……あ、あれ?
さっきの抜けがけ云々って聞き間違いじゃなかった?
奈都姉にちょっと近づきすぎなんじゃないかな、山本!!



「おい、野球馬鹿!奈都さんに慣れ慣れしくしてんじゃねぇよ」

『獄寺君、昨日も言ったけど敬語なんて使わなくていいからね?』

「いえ、ダメです!十代目のお姉様に…!」

『お姉様もやめてってば!あっ、そういえばツナの事、十代目って呼んでるけど何で?』

「あぁ、マフィアごっこしてんだよ」

「ごっこじゃねぇよ!野球馬鹿!」

『マフィアごっこ?あっ、もしかしてリボーン君とランボ君に付き合ってあげてるの?』

「違いますよ、リボーンさんは正真正銘のヒットマ…」

「獄寺君、ちょっと待ってー!!」



頼むから奈都姉をマフィアに巻き込むなって!
今までスルーされていたオレは三人の中に無理矢理、割って入る。
奈都姉は、慌てているオレをじとーっと見つめた。



『何か用?沢田君?』

「奈都姉、いい加減に機嫌、直せって!別に普通に話しても構わないから!」

『別に普通でしょ、沢田君』

「う……」



さらに、じとーっと見つめる奈都姉。
うぅ、視線が痛い…!!めちゃくちゃ怒ってるよー!!

一体、どうすればいいんだ!
頭を抱えるけれど名案なんて思いつかずにいると心配した獄寺君が声をかけてくれた。



「やはりケンカでもされたんですか?」

「う、うん。ねぇ、奈都姉…」

『………ぶぅ』

「つか、気になってたんだけど、さっきからキャラが違くない!?」

『べーっ』

「ぶぅとか、べーとか似合わないから!気持ち悪いって!」

「まーまー、ツナ、落ち着けって!可愛いじゃん!」

「なっ!?」



可愛いって何!?
山本の口からそんな言葉が出るなんて、めちゃくちゃ怪しいんだけど!!

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