「……」

『ツーナ!……ツッ君!!』

「んー…」

『朝だよ!』

「も、少し……」

『……』

「………」

『コラーッ!!起きろ、ツナーっ!!』

「うわぁ…っ!?」

『情けない声を出さないの!さっ、早く着替えてご飯食べて学校、行こっ!』

「あ…、奈都姉…」

『おはよう!ツナ!』

「う、うん、おはよう、奈都姉」



おはよう、って太陽みたいに元気に笑う奈都姉。

あぁ、本当に少しも変わってないな。
奈都姉がいる日常に懐かしさを感じて、少し照れくさい。
だけどすごく嬉しい。

奈都姉がちゃんと傍にいる。
もう悲しい夢じゃないんだ。



『ツナ?』

「えっ!な、何?」

『ぼーっとしちゃってどうしたの?』



まだ眠いの?と奈都姉に見つめられる。
恥かしくなったオレは、誤魔化すように時計に視線を移した。



「えぇ!?いつもより一時間も早いんだけどー!?」

『いつもギリギリだから遅刻しちゃうんだよ。リボーン君は小さいのに早起きしてるんだよ!見習わなきゃ!』

「は?奈都姉にリボーンを紹介したっけ?」

『昨日、ツナが学校に行ってる間、荷物を解くの手伝ってくれたの。小さいのにしっかりしてるよね』



あとランボ君とイーピンちゃんとフゥ太君も手伝ってくれた、と言葉を続ける奈都姉。
ポカーンとしているオレを見て奈都姉はニヤニヤと嫌な笑い方をして、からかうように話し出す。



『ツッ君、そんな変顔してると京子ちゃんゲットなんて夢のまた夢だよー?』

「なーっ!?何で奈都姉が京子ちゃんの事を知……っ」

「オレが奈都に教えたんだぞ。」

「リボーン!お前が犯人か!!」

『おはよう、リボーン君!』

「ちゃおちゃお!」



リボーンは奈都姉の肩にちょこんと乗ってオレを見て、にやりとした。
ちょっと待ってよ、この二人、いつの間にこんなに仲良くなっているんだよ…ッ!!



「リボーン!お前、何で奈都姉にそんなに懐いてるんだよ!」

「奈都はオレの愛人だぞ」

『あはは、またそんな事、言って!』

「本気だぞ」



愛人ーッ!?
リボーンの奴、また勝手な事を…!!
あぁ!まさか奈都姉にマフィアの事とか話してないだろうな!?
巻き込みたくないから絶対に話してほしくないんだけど…!!



「奈都もボンゴレファミリーの一員だぞ」

「はぁ…!?」

『どうしたの、ツナ』

「えっ!?いやー…えっと…」



ヤバイ、リボーンの奴、どこからどこまで奈都姉に話してるんだ!?
奈都姉を巻き込みたくないからオレは慌てて話題を変える。



「奈都姉!オレ、着替えるから!」

『着替え、手伝ってあげようか?』

「はい!?いいよ、いい!」

『いっつもボタンを掛け間違えてたよねー?』

「いつの話をしてるんだよ、もう!いいから出てってよ!」



無理矢理、部屋から奈都姉とリボーンを追い出す。

朝から心臓に悪いことだらけだ。
マフィアのことは内緒にしないと!
そもそもオレはボンゴレ十代目になるつもりなんてないし!

独り言をブツブツ呟きながら制服に着替えていると一階から楽しげな笑い声が聞こえた。
賑やかな朝が奈都姉が帰って来たことによって、さらに賑やかになったような気がする。



「ガハハッ!奈都、おはようだもんねー!」

『ランボ君、おはよう。イーピンちゃんも!』

「奈都姉ぇ〜おはよう〜!」

『フゥ太君、まだ眠そうだね。ほら、顔を洗って目を覚まそう?』

「うん……」

「あら、奈都、随分と早いのね。もう学校に行くの?」

『あ、ビアンキさん!おはようございまーす!』



……皆、何でそんなに奈都姉に懐いてるんだ!?

さも奈都姉がずっと家にいて一緒に生活してましたー!!みたいなナチュラルなノリは一体なんで!?

皆、順応力があるというか何というか。
奈都姉も奈都姉で我が家に居候がいすぎとかちょっとは考えろよな!

呆れつつも、制服に着替えると朝食を食べるためにリビングに向かった。

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