***


一ヶ月後。

その後の並盛中の事は分からない。

左手首にはまだ傷がうっすらと残っているけれど、全部、無かったかのように新しい日常が始まった。

朝の陽射し。
眩しいけれど心地がいい朝。



「ほら、羽依、早くしないと遅刻しますよ」

「羽依、弁当を忘れてる…」

『え…、あ…っ!ほ、本当だ…、えっと……』

「たくっ、どんくせぇ奴!おい、鞄を寄こせびょん」

『へ…!?あ、ありがと、犬…』

「別にー。早くしねぇとオレらまで遅刻だからな!さっさと弁当、取って来い!」

『う、うん……!!』



新しい日常じゃない。

本当の、"いつも"の日常が戻ってきた。

骸は私の傍にいて微笑んで、千種はめんどいって言いつつも犬の相手をして、相変わらず犬はツンツンしてるけど、優しい。

そこに私がいて、笑ってる。



これが私の日常。



「さぁ、行きましょうか」

『…ー…うん!』



骸は「黒曜の制服も似合いますよ」と微笑んで私の手を取り隣を歩く。

私達は全然、普通じゃないけれど、皆と同じ制服を着て学校に通う。

そうすれば、一時でも私達も他と変わらない「普通」の学生になれる。



『……』



皆で歩く通学路は、心地いい風が吹いている。

これからは何があっても骸達と一緒。

一緒なら何もかも乗り越えられる。

大丈夫だよ。
不安なんて何にもない。

今までだって、ずっと、そうして来たんだもん。



『………』



いつまでも変わらない永遠の絆。

何よりも大切で、大好きな皆が傍にいる。



それだけで、見上げた空は今まで見た中で一番、青くて綺麗に見えた。



『…ー…っ』



ここが私の大切な居場所。



















ありれたことでいいの。

みんなでいれば、それは素敵なことになる。


力を合わせて、皆で頑張って行こう。



kokuyo end



加筆修正
2012/03/13


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