リボーンの勘違い




一方、気持ち悪いくらいに浮かれている男が一人いた。その男の周りはピンクに染まっており、気色悪いことこの上ない。この男がこんな風になるのは天地がひっくり返ってもありえない。しかし、クラスの全員が、気味悪がっている視線を向けても気にしない。

「な、なにがあったんだ?コラ」

全員の尋ねてくれと言いたげな視線を受け、コロネロが代表で尋ねる。その男ことリボーンはくるんと効果音でもつきそうな振り向き方をし、幸せ気分で話し始めた。

「聞いてくれるか、コロネロ。Tsunaがボーカルに入ってくれたんだぞ♪」

ルンルン気分なその話し方にコロネロは引いているのだが、幸せ一杯のリボーンは気づかない。それどろこかリボーンの話をコロネロは信じていなかった。

「また、お前が勝手に勘違いしてるだけだろ?」

「違ぇぞ。Tsunaも承諾したからな」

ふーんと適当に相槌を打つコロネロは、一つ疑問に思っていることを尋ねる。

「しかし、歌えるのか?アイツ…」

コロネロが見た限り、沢田はボーカルに向いていない人間だと思う。おどおどとしていて、覇気がなく、いつも何かに怯えていそう。それが沢田に対するコロネロの第一印象だった。

「馬鹿いうんじゃねぇ。アイツはTsunaだぞ、ボン…」

最後まで言おうとしたリボーンの口をコロネロは慌てて塞ぐ。ティーンズバンドとして、未だに人気のあるvongolaのボーカルがいるとクラスに知れ渡ったら、学校中が大騒ぎとなってしまう。

「バカはお前だ!…お前が勘違いしてないことを祈るぜ、コラ」

コロネロは手を放し、自分の席へと戻っていく。次の授業を知らせるチャイムがなった。







「うぅ…。来たけど、入れない…」

扉の前で立ち往生している人物が一人。勇気を出して、扉へと手を伸ばすが、おろしてしまう。

「ダメだ、だめだ!」

自分に気合を入れ、綱吉は扉へと手をかけた。

「し、失礼しますっ!!」

震える声で、しかし、相手に届くよう自分なりに張り上げて声を出した。中にいた全員の視線を受け、足が震える。

「お!遅かったじゃねぇか」

リボーンが声を掛け、中へと招き入れる。コロネロは把握しているが、他の二人は不思議そうにリボーンと綱吉を眺めている。不思議そうに眺める視線に気づいたリボーンが、綱吉を紹介し始める。

「改めて紹介するぞ。オレたちのボーカルになった沢田綱吉だぞ」

「「は?」」

なにも聞かされていなかったマーモンとスカルは驚きを隠せない。紹介されたせいで、小さくなる綱吉だが、来た目的を話すため声を張り上げる。

「お、俺はここのボーカルになんてなってません!!」

マーモンとスカルは再度驚き、リボーンは似合わないほどぽかんとしてしまい、コロネロだけが冷静に納得していた。

















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