束縛されんの嫌いだから、束縛すんのも好きじゃないんスよねー。 とか言ってたのは嘘だったのか、と言いたくなる今日この頃。 私が他の男子とメールしていると、すぐに拗ねるし、そっちだってしてるじゃん、って言うと、向こうがメールしてくるだけ、なんて。 「随分、仲良さげだったじゃないっスか」 今も、自主練している涼太を待っている中、先に帰る小堀先輩と軽く話していただけなのに。 小堀先輩が帰った後、体育館に一人残っていた涼太は、不機嫌そうな顔で私に近づく。 「そんなことないよ。お疲れ様って、挨拶しただけ」 「ふぅん。にしては、長く話してたみたいっスけど」 そんなの流れでちょっと長く話すことくらいあるじゃない。 というか、長くと言ってもせいぜい3分くらいしか話していない。 「なんスか。その不満げな顔」 スッと目を細めた涼太を見て、少し寒気が走ったけれど、ここで引いていたらいつもと同じ。 今日こそは文句を言ってやろうと、苛立ちをそのままに言い返した。 「いい加減、やめてよ。いちいち疑わないで。私のこと信じてないの?」 「そういうこと言ってるんじゃねーよ」 いつもの口調を乱した凉太に、マズイ、と思った。 つい身じろぎして一歩下がると、伸びてきた手に腕を掴まれる。 「信じてるとか信じてないとかじゃなく、危機感がたりねーっス」 細めた涼太の目の鋭さに捕らわれていると、さっと脚が払われてバランスを崩してしまう。 いとも簡単に床へと押し倒され、のし掛かる涼太の重みに身動きが取れない。 「もし、他の男にこうされたらって、考えないんスか?」 「そんな、こと……別に、されないし」 「根拠はねーよ」 それは確かに、その通りだけど。 言葉が詰まると、涼太は私の顎に手をかけて、目線を反らすことを許さない。 「他の男と近すぎ」 「そんなこと、」 「じゃあ、オレが他の女の子にもっと、近づいてもいいんだ?」 涼太は私と付き合い始めてから、近寄ってくる女の子に、それ以上は、と制止をかけるようになった。 そのせいで女子からの私への目線は厳しいものとなったが、涼太に他の女の子がくっついてるのを見るより、まだいいとは思っている。 「近づくのは、やだ」 「なら、わかるっスね?」 顎を掴まれているため、小さく頷くと、いい子、と言われ口づけをされた。 私の小さな反抗は、失敗に終わったのだ。 結局、いつだって私は彼に囚われている。 (20120929) ×
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