例えば楽園というモノが実在するとしよう。まず、楽園とは何か?俺なりの定義で行けば、楽園というのは、人々が嫌う「死」や「苦」、「悲」、「哀」などが存在しない。そして、「楽」であったり、「喜」であったり、それはそれは人々が大好きなものしか存在しない。
俺は別に、楽園に行きたいとは思わないのだ。そんな、楽園なんてモノ、実在して貰っちゃ困る。楽園なんてモノは、所詮、現実逃避でしかないのだ。逃げてばっかりの人生が果たして楽しいのだろうか。俺であれば、罪悪感やら何やらで、押しつぶされて死んでしまう。
「俺は行きてーけどなぁ」
タクシーがぽつりと呟いた。口の中に大量に入ったポテトチップスの欠片をぼろりと落とした。あのね、ここは俺の家なの。だから、汚されたら困るんだけど。俺が露骨に嫌そうな顔をすると、タクシーは不思議そうに俺を見た。
「フォンは嫌いか?楽園とか、そうゆうの」
また、ぼろりとポテトチップスの欠片が零れる。嫌いとか、そう言うんじゃなくて。お前もういい年なんだからしっかりしろよ、と俺が言うと、タクシーはさらに不思議そうな顔をした。
「楽園って発想、こどもっぽいか?」
「…別に。俺は勝手にしてれば?って思うけど」
「…ええ、フォン、夢がねえな」
そう言いながら、タクシーは頬を緩める。あんなに大量に詰まっていたポテトチップスが、もう消化されてしまったようだ。タクシーは、手に持っていた大きなポテトチップスの袋に手を突っ込んだ。そして、やはり大量にわしづかみすると、口に放り込んだ。ばり、ばり、と音がする。うめぇ、とタクシーが呟いた。
「…楽園に、何で行きたいの」
「んー…なんでだろ。ゲンジツトーヒってやつ?」
「ばーか」
俺が笑うと、タクシーも笑った。ばり、とタクシーがポテトチップスを噛み砕いた。タクシーがポテトチップスを食べる音は、どうやら俺の中での生活音と化してしまっているようだ。ぽろぽろと零れるポテトチップスのカスは気になっても、ばりばりと言う音はそこまで気にならなかった。
「何でだろーな、フォン」
「何が?」
「何で、何で俺はこんなに幸せなのに、今でも死にたいんだと思う?」



タクシーはそう言うと、ポテトチップスを一枚、噛み砕いた。







楽園、イラネ








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よく解らない作品。
でろんでろんな結果になりましたとさ!^▽^
♪楽園に対する定義とその副作用について
が好きすぎてそれを小説にしようとして失敗した結果。
みなさんも聞いてみて下さいね!
タクシーがどうしようもないお馬鹿になりました。ごめんなさい。