学パロ捏造ばっかり




新学期。早めに咲きすぎた桜は既に散り、地面に絨毯として敷かれている。
それもそれで綺麗だと言う人もいるが散った桜は踏まれてぐしゃぐしゃ、
おまけに昨日降った雨に濡れ泥で汚れ、お世辞にも綺麗とは言い難い。
今年の新入生は運が悪かったな。恨むなら晴れすぎた天気にしてくれ。
とか、変な事ばかり考えるのも浮かれた頭じゃ仕方のない事。
誰だって新学期は気分も高ぶるだろう、クラス替えや着任式、
それから後日には入学式だってある。まさに、何もかも新しくなるのだから。


浮かれた足取りで向かうのは多くの生徒で囲まれた掲示板。
貼りだされているのは各学年のクラス表。
背の小さい自分は幾ら背伸びしても飛び跳ねてもこの人の波じゃ見る事すらできない。
寧ろその貼り紙の姿すら見つけては無い。


「ちょっと、俺の見てくれへん」


こうなったら最後の手段、とまではいかないが近くに居た旧クラスメイト(になるだろう)に頼む。
待ってな、と言われそいつは俺の名前を呟きながら探してくれている。
見付けたのかこちらを振り返って「3−B」と告げてくれた。
短く礼を言って足早にその場から去れば昇降口までやや駆け足気味に向かう。
乱暴に靴を脱ぎ、また乱暴に脱いだ靴を下駄箱に入れ込む、そして乱暴に運動靴に履き替えて
何段も飛ばしながらひょこひょこ階段を駆け上がればそこは先程告げられたばかりの俺の新しいクラスルーム。
黒板には白い文字で「席は早い者勝ち」と書いてある。この適当さと字形からして担任は昨年と同じな気がする。

とここまで来て教室をぐるりと見渡すが、いつも居る長身のあいつを今日は見ていない事に気付いた。
クラスは自分のしか確認していないし単に別のクラスに居るものだと勝手に解釈をして
どの教室に行ってもお気に入りである窓際の前から2番目の席へ腰を下ろすと段々と教室にはクラスメイトなる人が集まり始めた。

キンコンカンコン。と聞きなれまくったチャイムと同時にドアが開き、担任と思わしき人が入ってくる。
ほら見ろ、やっぱり昨年と同じやないか。
聞き飽きた口調でのろのろと話す担任から零れた言葉。


「知ってる奴居るかも知らんけど、あの秀才の宇治原、転校したで。東京。」


宇治原の苗字は俺の知り合いに一人しかいないし秀才と紹介されれば思い当たる奴はひょろ長の目窪しか居ない。
1、2年とも同じクラスで毎日のように一緒に居た、言わば親友。
春休みもほとんど毎日家に行ったり来たりして遊んでいたがそんな話は一切なかった。
昨日の夜だって、明日楽しみやなってメールを交わしたばかりだったのに。

何と言うか、俺はあいつにとってそんだけの存在やったのか、何て
珍しくも重い考えが頭をよぎった。