内臓を熱い何かでぐちゃぐちゃにかきまわされて、俺の中の何かとそれが放った液体が混ざって、酷く気持ちが悪い。何が起きているのかまったく理解ができないし、これが現実なのか否かもわからない。 ただ耳元で響く獣じみた息遣いと、嫌に熱っぽく呼ばれた名前だけが頭のなかに鮮明に蘇る。あの声は誰だったのか。痛く激しくするくせに声だけは優しかった。まるで俺にそうすることを望んでいたような声音だった。 「っ、…臨也、!」 あれ、シズちゃん? 体が重い。頭も重い。腰が痛い。尻が痛い。 (なんなんだ一体…) 覚醒する頭は段々と体の不調を訴えてくる。シーツに包まれた体は思うように動かない。起きあがることも出来ない。 ふるりと、剥き出しの肩が震えた。寒い。シーツを引き寄せようと手に力を込めるも、シーツが重くて動かない。いや、そんなわけあるか。シーツも引き寄せられないほど非力なはずがない。 ゆっくり寝返ろうとして、何かにぶつかる。なにこれ、俺ベッドの上になんか置いたっけ? 素肌が触れたそれは熱く、そして規則的な呼吸を繰り返していた。 「…っ、!?」 咄嗟に離れて、キングサイズのベッドの端まで逃げる。 「臨也、っ…!」 頭の中で鳴り響く、あの聞き慣れた声。怒号ではない、切なげな声音の、彼の声。ああ、思い出した。 「シズちゃん…」 俺は昨日、シズちゃんに犯されたんだ。 # 嫌な夢だ。臨也が俺の下でよがっている。泣きながら痛いと訴えてくる。夢の中の俺は冷めていて、臨也の細い腕を掴んで体を揺さぶっている。 なんだこれ、意味わかんねえ。胸くそわりぃな。コイツもコイツだ、何泣いてんだよ。ナイフでもだして刺せばいいだろが。 しかし臨也は一向にそうする気配は見せず、ただ嫌だと首をふり、やめてと懇願するだけだった。その姿に酷く苛つく。 うぜえ、泣いてんじゃねえよ。なんで俺に抱かれて泣いてんだよ。くそ。 ゆるやかに感じた肌の温もりに、ふと目がさめた。ぎし、とベッドが揺れる。俺は寝返りを打って、背後をみる。 「臨也…?」 頭が痛い。 # 逃げたせいでベッドが揺れた。まずい、起きるか? シーツを体に巻きつけ、どうにか上半身を起こして様子を伺う。 ずん、と鈍痛が腰に響いた。くそ。女を抱くことはあったが、まさか自分が抱かれるなど考えたこともなかった。しかも、シズちゃんに。 金髪が揺れる。細いくせに均整のとれた体が、ゆっくりと寝返る。 サングラス越しではない茶の瞳と視線が合う。いくらかまばたきを繰り返し、そして掠れたような声で、臨也、とシズちゃんは言った。 # シズちゃん寝てただけ… 始めました。よろしかったらお付き合いください。 title/コランダム |