双子ラプソディー | ナノ



「いい?出すよ?」

『ちょ、待って待って、』

「莉子遅い」

『だって分けづら……よし、いいよ』

「ちゃんと出せよ」

『わかってるって』


「『いっせーの、』」



バサバサ。そんな音を立てて出てきたのは数枚の紙。もちろんただの紙じゃない。諭吉さまが描かれた、まあつまりはお金である。毎年お正月の恒例となってる私と臨也のお年玉の見せ合い。どちらが多いかの勝負とも言える。


まあぶっちゃけ、



『あー、また一緒かあ』

「これ勝負になったことないんだけど」

『まあ双子だし差がある方がおかしいもんねー』



毎年一緒なんだけどね。親戚の数も私たちの年も一緒だから貰う金額も同じ。いい加減意味ないってわかっててもなぜか毎年毎年こうして争ってる。んで、もうひとつの勝負はこれ。



『ふっふっふ、今年も臨也に勝ってやんよ!』

「莉子何枚?」

『私の人脈舐めんな!72枚!まあどーせ臨也なんて美容院とかから数枚……』

「残念。俺138枚ー」

『ひゃっ……えええ!?138枚!?』

「うん」



年賀状の枚数勝負。くだらないことで勝負してはその度に負けていた私も、年賀状勝負に関しちゃ負けたことなかった(まあ相手が"この"臨也だし…誰が明けましておめでとうしたいのって話)。な…なのに今年は…!



『騙してる?あんた美容院138件も行ってたの?』

「まさか。ほら」

『ほんとだ…!なんで!?』

「(にや)それは内緒」

『だって去年も余裕で私の圧勝………あ!ちょっと臨也これ、』



女の子からばっかりじゃん!そう言うと臨也はさらににやりと笑った。これも、これも、これもこれもこれも……!(あ、新羅。)どこか見覚えのある名前が並ぶところから来神の生徒らしい(時々全く知らない名前もあるけど)。



『お前まさか…!去年まで散々女には教えなかった住所を今年は…!』

「教えちゃった」

『せこ!それはダメでしょ!モテるだけじゃん!言いたくないけど臨也モテるだけじゃん!全然人脈じゃないし!顔だし!』

「勝ちは勝ちって莉子のポリシーじゃなかったっけ?」



うわああ毎年私に負けてるからって住所教えやがったコイツ。マジせこい。ぼっちのくせに!超悔しい!



「ってことで今年は莉子の負け」

『…そんな勝ち方して嬉しいの』

「勝ちは勝ち、だろ?」

『最悪だ……』



折原家のお正月

(ってか臨也138枚も書いてなかったじゃん!)(だって出してないもん)(か、かわいそう)



 

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