双子ラプソディー | ナノ



喧嘩してる時にこーゆーのってナシだと思う。



「……」

『……』



ガサ、ガサと私達が歩くたびに段ボールの中に入ったたくさんの資料集が音を鳴らす。それは今日の終礼のときのこと。教室に放置された大量の資料集が入った段ボールを2つ、1階の会議室まで運べと我らが担任(わざと"折原"としか言わない奴)が命令した。そして私達のクラスは3階ということで誰もが担任から目をそらした。もちろん私も臨也もそうである。しかし担任のレーザーはいつもの標的である双子をとらえた。そう、折原兄妹。「折原ツインズ行ってこい。どーせ暇だろお前ら」それは反論させる間もない見事な命令でしたとさ。おしまい。



『(おしまいじゃないおしまいじゃない)』

「……」



臨也もさぁ、はやく謝ればいいじゃない。いやあの日は謝ってくれたけど、その日以降は謝ってもらった覚えがない。しまいには私の前で私の悪口を言う始末。どーせ悪いと思ってないんでしょ。あああ臨也死ね!



『(フン)』

「…莉子」

『!……何』

「こないだはごめん」

『……』



あ……謝りやがったコイツ!いやいやこんな空気のときに謝らないでよ!もうちょっとノリいい感じのときに謝ってくれたら私も『もーしょーがないなぁ』とか言いながら許せるのに!なんかこの冷たい空気の中簡単に許しちゃうと私が謝られたらすぐ許す女みたいで嫌だ!変な意地張っちゃいそう…!



『許すつもりなんてないんだからね』



ほぉらねぇぇぇえ!だから言ったじゃん!だから言ったじゃん!言ってないけど言ったじゃん!ツンデレか私は!ああもうだめだ臨也ごめん素直じゃない私を許して…!会議室の扉を開ける臨也の背中になら、口パクでならいいよって言えるのに。


少し高い位置に段ボールを置く臨也。私も続いて置こうとしたけどこの身長じゃなかなか届かない。背伸びしたってなんの意味もない。手こずる私を助けてくれたのは、やっぱり臨也だった。



「貸して」

『…ありがとう』

「うん」

『臨也』

「なに?」

『許、す』

「……」

『私も意地になってたとこあるし』

「莉子」

『…なに?』

「ありがとう」

『明日何か奢ってよね』



双子は仲直りしました。やっぱりこーじゃなきゃ。私も臨也も悪かったってことで今回は許してやろう。



双子の仲直り

(帰ったらプリン食べようか)(あ、昨日俺食べた)(いざやあああ)



 

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