「何、紀田くんたちに会ったの?」 臨也がパソコンの前の椅子に座りながら言う。私は無駄に大きなテレビに関心しながらもそれに頷く。ソファーはふかふか、大きな液晶テレビ、ほんとにいったい臨也はどれだけの恨みと引き換えにお金を手にしたのだろう。 「でも彼ら池袋にいるんじゃなかったっけ?」 『んー私池袋に行ってたの』 「ふーん。どうだった?」 『どうだったって?』 「紀田正臣くんと、竜ヶ峰帝人くん」 どうだったって言われてもねぇ。 うーんうーんと考え、臨也のスマートホン(さっき教えてもらった)のアプリでゲームをしながら答える。 『正臣くんの臨也への嫌悪感はハンパじゃなかったね。それから、帝人くんは……ヤバいんじゃないかなあ』 「ヤバいって?」 『なんて言ったらいいのかわかんないけど、あの子は変なものに対する憧れってゆーか……うーんうまく言えないけど、要はシズちゃんとか臨也とかセルティとか、そういうもんに惹かれる危ない子って感じ。ま、詳しくは知らないけど2人ともいい子なんじゃないの。あんまり手ェ出さないでやんなよー』 正臣くんの方は手遅れっぽかったけど……片割れとして謝るよ、ごめんなさい正臣くん。 あ、やば、追いつかれる!ちなみに今私がやってるのは後ろから敵が追いかけてくるゲームです。うーんスマートホンって便利だなぁ。まるでゲームのためにあるような携帯。あ、ああ!死んじゃった!溜め息をついて携帯から臨也へ視線を移すと、ひとりでにやついている。 き、キモイ…! 『い、いざや、ひとりでニヤニヤするのはよくないと思…』 「変わらないね」 『え?』 「君は7年経っても変わらない」 『はあ?』 「何にも。それよりコーヒー入れて」 『コーヒー?え、どーやって、』 「キッチンにコーヒーポットあるから」 『なんで私が……』 ぶつぶつ文句を言いながらも一応居候の身なのでキッチンまで行ってコーヒーを作ることにした。それにしても7年たてば好みの飲み物も変わるものだなぁ、私のよく知る臨也はオレンジジュースとか可愛いこと言ってたのに。 「(あんまり手出さないで、か…)」 『できたにょーん。莉子ちゃん特製スペシャルコーヒー』 「できる限りは言うとおりにするよ」 『え?なんの話?』 「こっちの話。ありがとう」 ……大人になったね、臨也。ありがとうだなんて。そういえばドタチンにはまだ会ってないなぁ。仲間がいるとか聞いたけどいったいどうなってるんだろう。見てみたい!ドタチンのことだからかっこいいに決まってますがな。 私がひとり想像を膨らせていると、ふいにガチャリという扉が開く音がした。目をやるとそこにいたのは長い黒髪を持つ綺麗な女の人。ばちり、目が合う。 『──え』 「…莉子?」 7年後の私はこの美人と知り合いなのだろうか。生憎16歳の私は知らない、知らないけれど、それにしてもいったいこの人はだれなんだ! (まさか臨也の同棲相手なんて言わないよね…!?) back |