さっきから黙ったままの2人の顔は、よく見れば見るほど学校で見たときよりも大人びて見えた。それでも正直今はどうでもいい、私は早く家に帰りたいのだ!頭痛もおさまったことだし…何よりお腹がすいた。帰ろう、臨也。そう言って見慣れない黒のコートの裾を軽く引っ張った。 「なんで…」 『?』 「いい年してコスプレ?」 『は、はああ?』 「制服着てると顔まで幼くなった気がするもんだ」 『何言ってんの臨也。コスプレしてるのはあんたとシズちゃんでしょ?』 「まるで普段俺がこの格好をしてないみたいな口振りだね」 『してないじゃん、実際。いつものダッサイ短ランはどしたの』 「いつの話してるの?」 はあ?なんで臨也と話が噛み合わないの…。ってかシズちゃんも私がおかしいみたいな視線なんだけど。 『……いざ、』 ───「いつの話してるの?」 ……。 『…臨也クン臨也クン』 「何」 『キミ今何歳』 「は?莉子と同じだけど」 『いいから言えってば!』 「23」 マジ冗談キツいって神様。 双子のわたしだけが臨也の嘘を見抜ける。当然、全てではない。だけどある程度はわかるつもりなんだ。そしていま、23歳と答えた臨也は嘘をついていなかった。…ここは7年後ってこと? 『はは』 「?」 『オッサン』 「(イラッ)お前もだろ」 『私16だもん』 「ちょ、痛いから」 『ほんとだもん!』 ってゆーか外見見ればわかるっしょ!?7年たってもわたしは変わらないのか!そういうことなのか!あーそーですかそーですか! 『場所変えよう!家で話そう!ほらシズちゃんも!』 「あ?ああ…」 『行くよ臨也!』 「……」 シズちゃんの手を引いて歩き始めようとしたけれど、臨也は未だに立ち止まったまま。私は何してるのと問い掛けた。 「どの家行くの」 『え?』 「俺の家?莉子の家?それとも実家?」 『(ポカーン)』 「…どうやら本当におかしなことになってるみたいだね」 「…まさかお前本当に7年前の莉子なのか?」 隣でシズちゃんが訝しそうに言った。…聞きたいのはこっちだ。知っているようで知らない、そんな世界にひとりわたしは来てしまったんだから。 back |