双子ラプソディー | ナノ



学校に着いてすぐ、昇降口で新羅に会った。



「おはよう莉子」

『あ、新羅。おはよう』

「珍しいね、君が臨也と登校してこないなんて」

「ここにいるっつの」

『(やっぱり新羅にも見えないんだ)んー臨也は今日ちょっとね』

「半透明になりました」

『ぶはっ』

「どうしたんだい莉子、いきなり笑い出して」

『いや…なんでもない…ぷくくっ…(笑かさないでよバカ!)』

「君がおかしいのはいつものことだけどいつにも増しておかしいね。やっぱり片割れがいないと君たちは成り立たないのかな?」

『は、はああ!?』

「莉子には俺がいないとダメだけど俺にはこんなブスいらないよ」

『オイだれがブスだコラ』

「一言も言ってないんだけど…」

『あっごめん何にもない!』



慌てて新羅に謝ると新羅の向こう側では臨也がニヤニヤしていた。うわっ、なんてヤな顔して…我が片割れながら腹の立つ。それにしても私以外には見えないって厄介だな。臨也と話してたら変人に見られるし…うーん。



『(つーかそもそも臨也が半透明になったっていう現状がおかしいんだよまず!だれが信じるのよそんな話!)』



ちゃんと元通りになんのかコイツ!?



♂♀



さっきも言ったが、私にしか見えないってのは本当に厄介だ。…例えば今みたいな授業中とか。



「莉子ー」

『………』

「暇なんだけど」

『………』

「ねーねー莉子ー」

『(ええいうっさい!)』



自分は他の人に見られないからって臨也は私の机の上にあぐらをかきちょっかい出してくる。それはなかなかイライラするもんで、黒板を見るにしても半透明の臨也がいるから見にくいし先生の声に被って臨也の声も聞こえるから全然授業に集中できない。ほんっとに苛立ちがやばい。



『臨也邪魔どっかいってあと喋んな(超小声)』

「ちぇ」



可愛くない舌打ちをして臨也はぴゅーっとどこかへ消えてしまった。どこに行くんだあのエセ幽霊…まあいいや、これでやっと普通に授業を受けられる。



『……』

「わっ!」

『どひゃあ!!!』

「やーい転んだ」

『いっ、いざっ、いざや!おまっ、いきなり机から頭出すかフツー!?ビックリしたわ!目飛び出るかと思ったわ!』

「ちょっと出てたよ」

『まじでか!』



……ん?私いま臨也と喋って…



「折原さん…?」

『(!しまった…)』

「ど、どうかした?寝ぼけてたのかな…」

『ごめんなさい先生ちょっとうとうとしてました』



「気を付けましょうね」なんて優しく言う英語教師の顔は若干引いていた。無理もないのだけれど。私はこれから放課後まで、臨也のしょうもないイタズラに付き合わなければいけないのだろうか。



一晩寝たらなおったよ

(結局なんだったんだアレは…)




 

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