双子ラプソディー | ナノ



『いーもの買えた』



誕生日プレゼントはばっちり。次はケーキ。うちがいくいつものケーキ屋さんで誕生日には毎年交互にケーキを買う、というのが私と臨也の暗黙のルールだったりする。去年の誕生日は臨也が買ってきてくれたから、今年は私。チョコケーキかチーズケーキ…フルーツケーキもいいなぁ。あ、ショートケーキも捨てがたい。どうしよう。ちなみにホールってのは欠かせない。



『フルーツケーキかチョコケーキ……迷う…!』

「小さめのホールを2つ買うと得だぞ」

『え?あっ、シズちゃん!』

「よう」

『小さめのホールかー、それいいね!すいませーん、これとこれくださーい』

「はい。少々お待ちください」



あれ、シズちゃんがいない。まさかもう帰っちゃったのか!?一言も無しで!?私たちってそんな薄い仲だったっけ。そう思ったらシズちゃんはケーキ屋の外で待っててくれた。やっぱりシズちゃん最高だ。



『あ、お誕生日用でお願いします!』

「なんて書きますか?」

『ツインズハッピーバースデーで』

「え……つ、つい……?」

「莉子ちゃーん!」

『あ、店長!』



ここに来たら必ず聞くその声。店長だ。人の良さそうな笑みで店員さんを奥に行くよう託し、代わってチョコのプレートに文字を書いていく。



「いやあ、もうこんな時期かぁ!今年は莉子ちゃんの番だったなーそうかそうかー」

『はいっ』

「臨也くんは元気か?」

『元気ですよーほんと、元気すぎて困りますアイツ』

「ははっ!昔っから莉子ちゃんと一緒にいたからなあ!……よしできた!お誕生日おめでとう、莉子ちゃん」

『ありがとうございます!』



カランコロン、と音が鳴る。外ではシズちゃんがガードレールに腰かけていた。



「ここ、俺もよく来るんだ」

『甘いもの好きだもんねー』

「ああ。…誕生日おめでとう、莉子」

『覚えててくれたんだ、ありがとうシズちゃん』

「お前の誕生日覚えてると自動的にアイツの誕生日も覚えちまうんだよ」

『ごめんしか言えない』

「まあノミ蟲の誕生日を祝う気はねーしな。…ほら」

『?』

「…なんつーか、アレだ。お前には世話になってること多いからよ」

『あ…ありがとう…!シズちゃん大好き…!』

「い、今開けんなよ!絶対開けんな!」

『えー?』



それからシズちゃんと帰って途中別れて、家に着いた。やっぱりシズちゃんはとってもいい人だ。


7時……臨也もう帰ってるかな。



『ただいまー』

「遅かったな」

『うん、シズちゃんに会ったー』

「…へえ」

『ほらほら、ケーキ買ってきたよー』

「え」

『え?』

「あれ、今年って俺じゃなかったっけ?」

『…違うよ私だよ』

「マジかよ」



そう言いながら臨也が白の箱を冷蔵庫から取り出した。パカと開けたそれの中には、小さめのホールが2つ入っていて。



『……』

「ショートケーキとチーズケーキ」

『…いざや……今わたしは初めて双子のテレパシーを感じたかもしれない…!』

「は?」



ケーキを見せると臨也も目を丸くしてみせた。



『さあて、それじゃあプレゼント大会〜!ドンドンぱふぱふ〜!』

「それ毎年言ってるけど必要?」

『臨也も毎年言ってるよ!』

「……」



カバンから今日買ったプレゼントを取り出す。臨也はもう持ってた。



「誕生日おめでとう、莉子」

『お誕生日おめでとう、臨也』



臨也からプレゼントを受けとる。…アレ?この袋…わたしのプレゼントしたやつと一緒だ。同じところで買ったの?丁寧にラッピングされたそれを開けていくと覗くそれは、



「『あ』」



ピンクと白の、リストバンド。
臨也が開けたラッピングの中にあるのは、水色と白のリストバンド。



『お、おなじ?』

「…いろちがい」

『……』

「……」



双子って不思議。ケーキだって、このプレゼントだって。私が右手首につけて笑うと、臨也も左手首につけて少し照れたように唇を尖らせた。



折原ツインズのバースデーA

(こんなにいっぱいケーキ食べられない…!)(新羅呼ぼう)(ならシズちゃんも。甘いもの好きだし)(はっ!?)

(シズちゃーん!プレゼントありがとうー!可愛いアロマキャンドル嬉しいよっ)(シズちゃんがアロマキャンドル…!)(っ、いざやぁあああ!)




 

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