『臨也、見て見て』 「何?雛人形?」 『イエス!今日は3月3日、ひな祭りですよー』 「ああ…莉子は毎年張り切って雛人形飾ってるな」 『楽しいじゃん』 ひな祭りは好きだ。女の子が主役になる日で、飾り付けもできて、しかも美味しいものもいっぱい食べれて。好きなところばかり挙げても仕方ないのであえて嫌な点を挙げようか。それならあの雛人形。あれは少し怖くて小さい頃から苦手だったかな。臨也はといえば機嫌のいい私を横目にひなあられをただ食べてばかりいた(小さい頃から今も変わらず)。 「そういえば莉子知ってる?」 臨也があられをひとつ口に投げ、思い出すように言った。 「最近来神である噂が回っててね」 『噂?』 「ああ。ひな祭りに自分のひなあられを好きな相手に食べてもらえればその恋は成就する、ってやつ」 『何それ知らない』 「どう思う?」 『どうって…いや、くだらないでしょ』 「どうして?」 『明確な理由はないけどさ。私そーゆーの信じないじゃん』 「やっぱり莉子はムリか」 『は?』 「俺が流した噂なんだ。それでどのくらい実行するのかなぁって」 『…うわぁー…』 「結構いたみたいだよ」 趣味悪い…恋する乙女を自分の遊び道具に使うなんて臨也はいつか刺されてもしょーがないね。まじで。さすがに双子の私でも味方できない……誰がどう見ても臨也が悪いしなぁ。…あ、臨也の取りまきの子たちはそう思わないか。 『ってかそれ新羅も聞いたの?』 「さあ、どうだろうね」 まるで興味の無いように臨也は言って、チョコレートを食べ始めた(なんか今日よく食うな)。どうだろうねって、もしその噂が新羅の耳に入ってたらきっとセルティが大変だよ。食べれないひなあられ食べてって言われるに決まってるじゃん。ピリリリ。…あ、セルティからメールだ。 【莉子!好きな相手にひなあられを食べさせれば成就するって噂、もしかして臨也が流した噂か!?新羅が大変なんddd】 『…セルティ…』 「おやおや」 『セルティが新羅にあげれば解決する話だと思う…』 「そうだね」 『ある意味楽しそうだよねあの2人って。仲いいし。羨ましいなあ』 「そう?俺には首無しを好きになるなんて性癖ないから理解できないな」 『でもセルティすごく可愛い』 「へえ。俺としては君みたいな妹のほうがまだ可愛らしいね」 『…身内じゃん』 「身内でも、さ」 臨也がそんなこと言うなんて珍しい。普段なら「カスは黙ってな」とか言ってきそうなもんなのに。まあ、私も新羅か臨也って聞かれたら臨也の方がかっこいいと思うけどね。……ま、シズちゃんには負けるけど! 『あーシズちゃんかっこいいわまじで』 「嫌な名前出さないでくれる?莉子これ開けて」 『あんたどんだけお菓子食うの』 タイプは金髪馬鹿力 (シズちゃんか俺、どっちが好み?)(シズちゃんシズちゃん絶対シズちゃん)(…なんかそこまで言われると腹立つな) back |