双子ラプソディー | ナノ



私には双子がいる。いわゆる片割れというやつだ。しかしその片割れというやつがまた厄介で、性格の悪さといったらハンパじゃない。もうほんと、誰からその性悪遺伝したのって感じで。うちの家族はいたってまともなはずなのに私の片割れは本当に人から嫌われる(あるいは憎まれる)奴だった。



「人ラブ!」

『………』

「聞いてよ莉子、今日面白いことがあったんだ」

『嫌だよ。どうせ悪趣味なことでしょう』

「違う、俺が人間をさらに好きになっちゃうようなことさ」

『絶対聞かない』



容姿端麗、頭脳明晰、そして眉目秀麗だなんだとまわりに言われてるが実際は人ラブ美学とか持ってるただの中二病患者。こんな奴が私の片割れなんて恥ずかしい。全然似てないけどね。



「あーマジシズちゃん死ねばいい。たまたま降ってきた隕石の落下地点がたまたま日本でたまたまシズちゃんの頭の上だったらいいのに」

『臨也たまたま言い過ぎ』

「女の子がたまたまとか言わないの」

『うぜえ!』



シズちゃんはいい人なのになぜか毛嫌いするし。全人類を愛してるんでしょうって聞いてやりたい。聞いたけど。そしたら「平和島静雄を除く全人類を愛してる」それもう全人類じゃねーよ。



「ちょっとそれ俺のプリンなんだけど」

『いいじゃんケチケチすんな』

「死ね」

『いだっ!ちょっと殴らなくてもいいでしょ!』

「うるさいプリン買ってこい」

『死ね』

「全校生徒に莉子の体重バラしてやろうか」

『っ、臨也死ね!バーカバーカ!なんで知ってんだ変態!』



しかもやたらと個人情報やらちょっと噂になったような出来事を詳しく知ってる。理由を聞けば情報屋だからと返ってくる始末。情報屋て。マジかお前、って目で見て殴られたあの痛みは凄かった。


そんな感じで臨也は性格最悪だ。壊滅的だ。



『いたっ』

「?どうしたの」

『…紙で切った』

「うわ血」

『舐めとけばなおるっしょ』

「貸して」

『え?』

「指」

『ん。…あ、絆創膏』

「一応女の子なんだからケガは気にしなよ」

『一応とかゆーな』

「はい」

『ありがとう』



でも私はそんな片割れがちょっと好きだったりする。優しいとことかあるんだよ意外と。片割れにしかわからないことだってある。だから例え臨也のまわりが敵だらけになっても、最後の味方ぐらいには片割れがなってやろうと考えないこともない。



「そういえば俺と君、どっちが上か知ってる?」

『兄か姉ってこと?』

「そう」

『知らない。聞いたことなかったなそーいや』

「俺が兄で莉子が妹だって」

『……なんか悔しい』

「妹は兄貴の言うこと聞くもんだ。プリン買ってこい妹」

『死ね臨也』



やっぱ味方はムリかも。


私には片割れがいる

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臨也とその片割れの女の子の日常。
毎回こんなふうにグダグダですが続けていきたい、です。

20101219



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