双子ラプソディー | ナノ



『(どーしてこの男がモテるんだろう)』



それは、双子の性格の歪みっぷりを見てから毎度思うことだった。結局私の中の結論は『顔がいいから』なんだけど、それでもさっきの疑問はいつだってふとしたときにやってくるものだ。


だからなんとなく、聞いてみることにした。学校の皆に、冒頭の疑問を。



「折原がモテる理由?そりゃあ顔だろ、顔。イケメンは羨ましいね、俺もあんな顔に生まれてりゃなぁ」


「折原のモテるわけ…やっぱりかっこいいからじゃない?」


「顔だけじゃないよ、なんか女の子に対する態度?つーかモテる仕草?そーゆーのわかってるよね」


「わたしは頭がいいところが好きだなぁ。なのにちょっと悪いとことか、かっこいい」


「顔だよ」



答え方は人それぞれ、だけどやっぱり顔がいいというものが断トツ多かった。時々頭がいいとか優しいとかちらちら聞こえるくらい。まあそりゃあそうか。これが一般論なわけで。


それじゃあここからは、非一般論。



「臨也がモテる理由?さぁ、それは知らないよ。だいたいアイツの場合モテるとかそーいうのじゃなくて宗教じみてない?あ、もちろん君の双子のお兄さんの嫌味ではなく。…まぁ、単純な結論を出すなら彼の巧みな言葉じゃないかな」

『ふーん、なるほど。つまり新羅は臨也がモテることが羨ましい、と』

「そんなわけないだろう!僕はセルティがいればそれでいいんだから!なあセルティ!」

『セルティはここにはいないんでどっか行ってください』



『ドタチンはどう思う?』

「知らねえよ」

『いや知らないじゃなくて、答えてほしいんだよ』

「…雰囲気じゃねえのか」

『雰囲気?』

「なんつーか、いい雰囲気だよなあいつ。人をうまく揺さぶる、反対に言えば悪い雰囲気でしかねーんだけどよ」

『さすがドタチン、新羅と違って意見がかっこいいね』

「……」



さあて残るは、彼のみ。ちょっと聞くの怖いなぁ。怒りそう。でも彼にだけは聞かないと…これだけの人に聞いて彼にだけは聞かない、なんて有り得ないんだから。



『ねぇシズちゃん』

「なんだそのかまえ」

『いやちょっと対策を』

「?」

『えーと、ちょっとシズちゃんに聞きたいことがあるんだけど、怒らないで聞いてくれる?』

「ああ」

『…ど、どうして臨也ってモテるんだと思う?』


バキッ


『………シズちゃん、ほうきが』

「…悪い。……ノミ蟲が…なんだって……?」

『も…モテる理由……』

「……んなもん知るか。どうせ胡散臭ェ口八丁かなんかだろ」

『ほーほーなるほど。ありがとう!』



『臨也ー、あのねえ今日学校でアンケートとってみたんだ』

「どうして俺がモテるのか、だろ」

『!もう回ってきたの!?』

「うん。くだらないことしてるんだな、お前」

『うっさい!…で、結論から言わせてもらうと』

「なに?」


『新羅は臨也のモテるとこが羨ましいんだって』



謎を解決いたします

(はあ?)(うん、そういうこと)



 

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