双子ラプソディー | ナノ



こうなることは、はじめからわかっていた。それなのにこの結末を回避出来なかった原因はただ1つ、単に私のグータラである。そう、コツコツとか苦手なタイプなんです。



『宿題が終わらないー!!』

「叫ぶ暇があるならやればいいじゃないか」

『できないから困ってんの!終わらないの!』

「莉子は最後までためすぎ」

『だって冬休みくらいダラダラしたいじゃん…!』

「常にダラダラのくせに」



宿題。またの名を学生の天敵。これを長期休暇の最終日まで放置しておく人は少なくないと思う。そしてかくゆう私もその中の1人。ダラダラ過ごす私の頭の中に宿題なんて単語はこれっぽっちも浮かばない、わけではないがやる気が出ないから結局手につかず仕舞いで最終日を迎えてしまう。ちなみに臨也は初日に一気にやっちゃって終わらせるタイプ。羨ましい。



『臨也…手伝って!』

「嫌」



ぜんざいのお餅を食べながらそう言い切る臨也。ある意味これもまた毎年恒例の出来事だ。ってか春休みと夏休みと冬休みの最終日には必ず見る光景、なような……



「計画性のない莉子が悪いね」

『お願い!一生のお願い!』

「莉子の一生って何回あるの?」

『双子の妹がこんなに困ってるのにあんたはそれを見捨てるの…!?』

「うん」

『うがあああ極悪非道ううう!』



臨也は頼っても仕方ない!いつもなんだかんだ言いながら最後は手伝ってくれるけど、今日はなんとなく駄目な気がする。だって臨也の声に感情がこもってない!やる気がない!



『ふん…もーいーよ。他の子誘うから!』

「どーぞ勝手に」

『……あ、もしもしシズちゃんー?宿題終わった?…さっすが!実は私まだ終わってないんだけどさぁ、よかったら一緒に───』

「やらなくていいから」


プツッ


『……何、臨也』

「…シズちゃんに頼ることないだろ」

『だって臨也が手伝ってくれないから』

「……」

『携帯返してよ』



ぜんざいそっちのけで携帯を握りしめる臨也。自分に頼るな、でもシズちゃんにも頼るなってどういうつもりですかァァァ臨也さぁぁん。じっと目を見てるとしばらくしてから諦めたような溜め息を吐いた臨也。



「わかったよ、手伝う。手伝うからシズちゃんに協力求めようとか思うな」

『臨也が手伝うって言ってくれるなら無敵!ひゃほー!』



最初から手伝うって言えばいいのに!臨也が手伝ってくれると例え前日の夜中でも絶対間に合うからいい。とりあえずシズちゃんにさっきのことについての謝罪メールを送ってから、私の(特に)苦手な教科の宿題を臨也へ渡す。



『はい、これよろしく(にこにこ)』

「俺と莉子の割合が合ってない気がする(つーか我が双子の妹ながらこの嫌な笑い方俺にそっくり)」

『いざややってくれないの?』

「…はいはい」

『いざや大好き!』

「(都合いい妹だな)」



最後まで放置する

(俺の双子を絶対シズちゃんなんかにやらない)

(臨也ー終わったー?)(もう終わる)(臨也って1回集中したらすごいよね)



 

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