「ふーん」
「へえ」
「誰だ」
「ちっさー」
「白藤さんだったんですね」
こんにちは白藤つばきです。今日も元気に普通な女の子ですハイ。場所は屋上、時刻は昼休み天気は晴天。ピクニック日和だなぁなんて呑気なことを考えていた自分はどこへやら、現在ガチガチに固まりながら痛いほどの視線を体中で感じていた。味方だと思っていた隣の彼を睨み上げるけれど、気まずそうな苦笑いで頬を掻きながら目線をどこかへやっている。どうやら悪いことをした自覚はあるらしい。
青峰くん、赤司くん、緑間くん、紫原くんに黒子くん。黒子くんはわからないにしても、どの人もこの帝光中じゃ有名だ。バスケ部の皆の活躍は誰もが知っている。わたしだって例外じゃない。だけどこの人たちに一斉に見られるともうなんか威圧的なもので死んじゃいそうっていうか(あ、黒子くんはとても優しいので別)、そもそもでかい人三人もいるし。てゆーか紫原くん、まるでわたしのこと知らないみたいな感じで言ったけど同じクラスだからね?
そろそろいたたまれなくなって、わたしはこの状況を屋上に連れてきた時点で知っていたであろう策士の彼のシャツの袖をきゅっと握った。
『涼太くん、』
助けを乞うように見つめれば、ごめん、とだけ返ってきた。ふざけないで。
「皆が彼女見せろ見せろってしつこくて…」
『な、なんで突然!?』
「だって相談したらつばきビビって嫌とか言うじゃないっスか」
『言うけども!…いきなりとか、こ、こころの、準備が!』
「まあまあ。変な人たちだけど、一応オレの仲間なんで。えーと、この子が彼女の白藤つばきちゃんっス」
涼太くんは手のひらを差し出しわたしを、紹介し始める。一応彼女だけど、わたしみたいなのが彼女とかみんな驚くでしょ…。涼太くんはかっこいいのに。
「なんだよ、涼太くんとか、なんかカップルっぽいな」
「だからカップルなんスけど!」
「あれ、白藤つばきって、クラスの?」
「今さら!?そろそろみんなの顔覚えよう!?」
「白藤さんはてっきり紫原君のことを好きなのかと思ってました」
「なんでそんなこと言うんスか!?」
「何座だ」
『え、』
「答えなくていいっス!」
なんだか大変そうだなぁ涼太くん…。いつもこんなふうなんだろうか。
「黄瀬」
わあ、なんだか赤司くんが話し始めるとゴクリと喉が鳴っちゃう。こういう人がキャプテンとかつとめるんだなぁ。
「お前面食いだったんだな」
みんな意外と普通の中学生かもしれない。