こんにちは、私コンビニでアルバイトをしているごく普通の大学生です。今日も今日とてバイトにやってきました。コンビニのバイトって暇かなと思ったら意外と楽しかったりするんです。あの人よく来るなーとか、いろいろ考えたりして。
『(あ……あの子また来てる)』
ある月曜の寒い日、私がバイトし出した時から必ずと言っていいほど毎週月曜日に来る男の子がやっぱり今日も来た。明るい髪やピアス、制服の着こなし具合…見るからにナンパそうだ。そういえばあの制服は来良学園のじゃん。確か隣の部屋に住んでる杏里ちゃんも来良学園だったな。
『(いーっつも立ち読みしていくんだよなあ……そろそろ買えっつの)』
「つばきちゃんその顔はちょっとやめてくれるかな」
『あ、店長…どんな顔してました?』
「気の抜けた顔」
『ボケろよ』
「店長に対する態度じゃないよねソレ」
ぶつぶつ文句を言いながら去っていった店長。「クビにしよーかな」なんて聞こえた気がするが気のせいだろう。それにしても店長また太ったな。
「おねーさん」
『へっ』
突然声をかけらて思わず情けない声を出してしまった。名前もわからない物体(レジとかお客さんが買う商品を置くあの、)を挟んで向こう側にいるのは例の高校生だ。にこにことそれは人懐っこそうな笑顔を見せているがその手に商品は一つもなくいったい何の用があるのか。
「おねーさん、つばきさんっていうんですか?」
『え?…はあ』
「いい名前ですね」
『あ、ありがとうございます』
「実は前から気になってたんすよね、俺行きつけのコンビニにトリプルAランクの美人がいるから」
『うちのバイトおばちゃんばっかりですけど…トリプルAランクなんているかな』
「ちっちっちっ、その鈍感ぶりは計算っすか?わかりました、男紀田正臣、喜んでおねーさんの誘惑に負けましょう!ってことで番号教えて?」
『……』
「(すちゃ)」
『ナンパですか』
「ナンパです」
最近の若者は(私もまだ若い方だけど) 草食男子だのと言われているらしいが、いるじゃないか、肉食男子。だけど生憎私は草食男子も肉食男子も好みじゃない。私が好きなのはロールキャベツ男子なんだ。
『ナンパなら同じ来良学園の子をどうぞ』
「なんで俺が来良って……ハッ、さてはおねーさん俺のストーカー!?」
『制服見ればわかります』
「いやーそれにしても本当に綺麗だなぁつばきさん!ダークブラウンのその髪もきめ細かい肌も吸い込まれるような瞳も!久しぶりのドストライク!」
『……』
いくら言われようと相手は高校生、こんな子供に褒められたって照れることはない。
……なんてことはない。普通に照れる、照れまくる。恥ずかしい恥ずかしい。こんなにストレートに褒められたことなんてないから…!
『…用がないならお帰りください』
「いや、買うものはある」
『なんですか、ならさっさと出してくださいよ』
「つばきさんのアドレス!」
なんてめんどくさい客に絡まれたんだ、今後一切話しかけてこないことを切実に願おう。