「誕生日って」 『?』 「いるのかな」 『…はあ?』
突然臨也さんがバカなことを言い出した。別にいつものことだけど相変わらず彼は意味が分からない。そういえば前夜中に喉乾いてリビングまで行ったときチェスと将棋と囲碁で何かしてたのを見たな。あの時はゾッとした。この人大丈夫かと本気で心配になった。
…あ、そういえば。
『臨也さん明日誕生日でしたっけ』 「正確には今日ね。もう午前1時だし」 『ああ、おめでとうございます』 「どうも」 『で、なんですか。せっかくの誕生日を喜びもしないで』 「俺にとっちゃ誕生日なんて喜べないただの1日だよ。何が嬉しくて老いることを喜ばなきゃいけないのさ」 『老いることって…まだ24歳でしょ。あ、25になったのか』 「25歳かぁ」 『若いですよ十分』 「君今年いくつになるっけ」 『二十歳になります』 「わかっ」 『…5こしか変わりませんけど』 「5こねぇ。俺としてはでかい差かな」 『そうですか』 「はあ、年取りたくなーい」 『時の流れには逆らえませんよ、人間なら誰しもね』 「君はアレだね、夢がない。つまんないの」
いい年してふくれる大人にはなりたくないです。これが今の私の夢。ってのは半分冗談で。
『夢なんてありませんよ』 「若くないなぁ。ほんとは三十路なんじゃないの」 『殴りますよ。…現状に満足してるから、夢なんてないんです』 「…ふーん」
私がいて、臨也さんがいる。この現実さえあれば私は夢なんていらないんです。だから26歳になるときも、30歳になるときも、100歳になるときも。ずっとずっと一緒にいましょうね、臨也さん。
「可愛いね、つばき」
────────── 120504//100歳のお誕生日会 臨也さんhappy birthday!2
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