06
こんにちはさくらです。好きなものは鯖(サバ)の味噌煮、嫌いなものはワサビ。
え?なんでいきなり自己紹介かって?違いますよ、コレは今朝第七師団の方たちにした自己紹介です。……あ、違うくないや。第七師団と言えば阿伏兎さん曰く春雨の雷槍として恐れられているらしいですからどんな鬼みたいな方々の集まりかと思いきや、皆さん意外と優しくてホッと安心。「さくらちゃんって呼んでいーかい」って聞かれたりなんかもしました。照れるなァ。完全に顔魚だったけど。
それからその質問のとき、ふとわたしは思ったのです。そういえば神威さんに名前呼ばれたこと一度もない、と。普段から名前を呼ぶタイプの人じゃないとか?…でも阿伏兎さんのことはよく呼ぶよね。気になったからさっそく、神威さんを探してみます。
「神威さんいますか?」
「神威さんどこにいるか知りませんか?」
「神威さんここに来ました?」
「神威さんは、」
「神威さん!」
神威さん神威さん神威さん………
「阿伏兎さん!神威さんどこにいるか知ってますか!?」
「うおっ、いきなり入るんじゃねーよ。ノックぐらいしろすっとこどっこい」
「コンコン!神威さんはどこですか!」
「どこのキツネだ!団長なら昼過ぎに任務に行ったぞ。……あ?お前なんでいんだ?」
「任務?」
「お前さん、団長の付き人だろう。任務に行くなら団長がお前さんを呼ぶはずなんだがな…」
「……ま、まさか団長わたしのこと忘れ…」
「…いや、」
「?」
「まあとにかく明日聞け。夜中に戻ってくるから」
「はあい」
バタン。
うーん、どうして神威さん任務に行っちゃったんだろ。わたしが付き人ってこと聞かされてないのかなぁ。別に任務に行きたくてたまらないってわけでもないしいいんだけど、なんか気になる。まああのめんどくさがりな神威さんのことだし、わたしに知らせるのがめんどくさかったとかそんな感じだろう。
♂♀
「あり、なんであんたがこんなとこにいるの」
「…神威さん!」
こんなとこ、とは神威さんの部屋の前。わたしはそこに足を抱え込んで座っていた。…危ない危ない、危うく寝るところだった。
「神威さんのこと待ってました」
「なんで?」
「わたし付き人なのに何の役にも立ってませんでした。だからせめて帰りくらいは待とうと思って」
「役に立ってなかったって、あんたは任務にも来てないだろ。俺が呼ばなかったから」
「そこですよ!どうして呼んでくれなかったんですかー!?」
「だって絶対邪魔になるし」
じゃ、邪魔…。けっこう傷つく一言です…!確かにわたしなんかが一緒に任務に行っても夜兎の神威さんにはお荷物なだけなのかも……うーん、納得。
「ならやっぱり待っててよかった。おかえりなさい、神威さん」
「ただいま」
あ、いま神威さんの笑顔にキュンてきた。
(思ったよりいい子だね、あんた)(いい子の代名詞みたいって言われたことあります!)
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